amazarashi / アマザラシ

amazarashi / アマザラシ

amazarashiとは青森県で結成された日本のロックバンド。
時代をリアルに切り取る歌詞とメロディアスな楽曲、耳に心地よいミドルトーンの声。
アニメやゲーム業界とのタイアップを精力的にこなし、なおかつメンバーの顔写真が検索してもヒットしない謎に包まれたバンドである。
紗幕をステージ前面に張り、そこにタイポグラフィーと映像を投影するという独自のライブ演出が展開される。

2eemomi13のレビュー・評価・感想

amazarashi / アマザラシ
9

攻撃的な音楽性。そこに惹かれる何かがある。

『amazarashi』というバンドをご存知だろうか?
2007年「STAR ISSUE」として活動していたアマチュアバンドが、青森県で行われたアマチュアバンドのライブイベント『グルコン Vol.17 青森 ~Joker Style Summit~』でローランド賞を受賞。
後に『amazarashi』へと改名し、活動をスタート。
青森県在住の秋田ひろむを中心に結成されたバンドで、ネットを中心に活動を行っていた。
その独特の世界観や物語性のある歌詞が、所属事務所であるレインボーエンタテインメントのA&Rに評価を受け、デビューに至った。
2010年にアルバム『爆弾の作り方』でメジャーデビュー。
アートワークディレクターとしてYKBXこと横部正樹が作品デザインを手掛けた、てるてる坊主のマスコットキャラクターをメインビジュアルとしている。
秋田は「生きていく中で降り掛かる悲しみ苦しみを雨に例えて、雨曝しと名付けました。そこから自分を肯定していくような歌を作りたいという願いを込めて。そこからイメージしてのてるてる坊主です」と語っている。
また「amazarashiの攻撃的な歌は、世界への復讐のつもりだったんですけど、それが何故か受け入れられたりして、良く分からないです。でも、抱え込んでいた自分の汚い部分を吐き出すのは大事だったと思います。」と語っている通り、歌詞には強烈なメッセージ性があり、全ての人に受け入れられる音楽では無いが、だからこそ魅了されるものがある。
(引用:「世界への復讐のつもりだった amazarashiインタビュー - インタビュー : CINRA.NET」より)
秋田自身が人付き合いが得意でないことや詞の世界観により注目してもらう為、顔出しを行なっていない。
その為、ライブも独特な構成となっている。ステージにはスクリーンが張られ、そこに映像を流し、その後ろで演奏を行うというスタイルだ。
2018年11月16日に初の武道館ライブ「朗読演奏実験空間”新言語秩序”」が行われた。
実験空間と銘打つ通り、今までに無い演出が組み込まれた。
秋田が執筆した小説『新言語秩序』の物語を軸に、スマートフォンアプリや、ミュージックビデオ、CD、ポップアップショップなどが連動し、大規模なクロスメディア展開が行われた。
ライブのために書き下ろされた小説『新言語秩序』は、ただのフィクションではなく、現実の問題意識から生まれた物語。
SNSをはじめとしたあらゆる場所で過剰な言葉狩りが横行するディストピアで、言葉を検閲する側の「新言語秩序」と、反体制側の「言葉ゾンビ」が争うというものだった。
この物語の世界を現実化し、「新言語秩序」への抵抗運動として、武道館のライブは行われた。
ライブ参加者は物語のなかのレジスタンスの一員となり、スマホのアプリやそれに連動したフリフラ(ソニーエンジニアリングが開発した無線制御型のペンライト)などを用い検閲解除行為を行うことで、抵抗運動へと参加した事となる。
ライブ終了後には、抵抗運動への参加インセンティブとして、オフィシャルライブフォトと検閲解除後の“独白”が即日公開された。
ライブに参加できなかった人にも、「アプリ内で検閲解除行為をした=抵抗運動に参加した」ということで、同様のコンテンツが公開された。
(一部抜粋:「amazarashiが問う、芸術と社会の在り方。SIX本山敬一が伝える」より)
『amazarashi』の持つ独特の世界観。そして、それを構成するもの。今後もその世界は我々の元へと侵食を続けていくだろう。