『時をかける少女』の本当の魅力とは?
一見、時空を超える系のありきたりな映画かと思うが、それだけではないのがこの映画の良い点である。
SF要素を含みながらも現実味があり、どこか共感できてしまう。
ストーリーだけでも十分に楽しめるが、何度か見ていくうちに物語の伏線に気づき、何度も楽しむことができるのがこの作品の本当の魅力であると私は思う。
例えば、物語に出てくる今野真琴の叔母(通称魔女おばさん)は、ただの脇役ではなく、実は原作の『時をかける少女』の主人公なのである。
なので、若き頃の叔母自身も時をかけていたと知ったときは、とても驚いた。
叔母の出てくるシーンでは、そんな魔女おばさんだからこそ、あのアドバイスができたのか、と納得して見てしまった。
他にも、最後の名シーン、千昭の「未来で待ってる」というセリフは、ただ単に千昭が真琴のことを未来で待ってるという解釈になりがちだが、そうではなく、物語の終盤にでてくる千昭が見ることができなかった絵画を千昭のいる未来まで残す、という解釈の仕方もできたり、と繰り返し見ることによって気づく面白さというのが、この映画にはある。
また、作品の中では奥華子さんの「ガーネット」「変わらないもの」の2曲が使われているが、この2曲は千昭目線と真琴目線で書かれた詩だと知りながら見ると、楽曲からも映画の理解を深めることができるので、それもまたお勧めしたい。