時間の概念を覆される難解ストーリー。誰もが知的好奇心を刺激される大作!
時間や空間、時系列などをテーマにした作品の天才、クリストファー・ノーラン監督の超大作。本作品も「時間」を主軸に作られているが、歴代の中でも特に難解なものに仕上がっている。作品のキーワードとも言える「順行」「逆行」という言葉。まずこれを理解することが難しい。頭ではわかるが、感覚が追いつかない。今まであったような再生、逆再生とはまた違う概念だ。なので頭が混乱する。だがそんな視聴者を置いてけぼりにするように、映画自体はスピーディーに進んでいく。理解が追いつかないまま、次から次に疑問が蓄積していく。すごいのはそれでも作品にぐいぐい引き込まれていくところだ。ストーリーがノーラン監督の中で完璧に仕上がっているので、ブレることなく話が終盤に向かい、一本に繋がっていく。疑問が解消された時の感動も一入だ。ただ注意してもらいたいのは、大抵の場合は初見で全てを理解するのは無理だということ。少なくとも2回以上視聴することによって、理解度が増し、より楽しめる。これだけ聞くと多少見るのが面倒に感じるかもしれないが、アクションをはじめ、CGを極力使用したがらない監督のこだわりによる映像の全てが魅力的で飽きさせない。気が付けばあっという間にラストまで駆け抜けている。更に字幕で見ると、あえて世界各国の訛りが残ったままの英語が聞けるので、英語学習に興味のある方にもお勧めだ。そんなちょっとしたところも監督らしさが感じられて楽しい。ノーラン監督作品好きは勿論、誰もが知的好奇心をくすぐられる作品なので、少しでも興味があるなら是非この世界観に飛び込んでほしい。