強烈な恋愛映画
アパートの廊下で、レオンとマチルダが会話をするシーンが印象的な映画でした。
マチルダは父親に殴られた際の傷跡をレオンに見られ、レオンに「人生ってずっと辛いの?それとも子どものときだけ?」と尋ねました。それに対しレオンが、「ずっとさ」と答えます。ここのシーンが印象的でした。
レオンは貧しさゆえに魂を売り、殺し屋となりました。狙った相手は確実に逃さず殺し、友達もいないため、彼は自分がサイコパスだと自覚しているように見えます。しかし彼は植物を愛したり女性や子供に対して優しくなったりと、サイコパスに似合わない優しさも持ち合わせています。複雑な心境の中、彼は「自分は、根が地面についていない観葉植物のようだ」とマチルダに告白します。「人生って、ずっと辛いの?」という問いに対し「ずっとさ」と答えるレノンの言葉に、リアルな自分の人生経験や苦悩が濃縮されているような気がしました。
レオンの役を演じた俳優 ジャン・レノは、北アフリカ出身です。しかし彼は、世界で活躍するスターを目指して、フランスの国籍を取得するためフランスの軍隊に入隊しました。また、アメリカのエンターテイメント市場にも自分を売り込みました。
彼の経験は、レオンの「根無し草」の雰囲気に合っています。彼がレオンを演じたのは、最高の判断ではないでしょうか。
辛い境遇の中で愛を尊ぶ二人が出会い、(下手なホラー映画より)不自然すぎないがハラハラする境遇の人生を生きていく。このストーリーが美しく、また観客の涙を誘います。映画館で泣いている人がいたし、私も泣きそうになりました。
レオンはアクション映画ですが、悲劇的な境遇の中で二人の激しい人物が寄り添いあうという、強烈な恋愛映画の要素をもっています。映画を見て泣きたい人に、強くおすすめします。また、明るく楽しいタッチの恋愛映画をみることが苦手な人にもおすすめです。