好きになった方が負け?天才達が一周回って面白い!日常系コメディ
物語の主な舞台は秀知院学院という名門校。そこの生徒会長である白銀御行は、副会長であり、4大財閥の一つに数えられる『四宮グループ』の本家・本流総帥の長女である四宮かぐやが好きである。白銀御行は名門校の生徒会長を務めてはいるものの、実家は平凡どころか貧乏であり、四宮かぐやとは身分からして天と地ほどの差がある。その上、この四宮かぐやというヒロインは、主人公である白銀御行を凌ぐ才能の持ち主で、大抵のことなら何でも簡単にこなしてしまう。
そんな天才少女である四宮かぐやを一体どうやって白銀御行は振り向かせるのか、それがこの作品の見所、と思いきや、そうではない。なんとこの四宮かぐや、第一巻の一話からして既に白銀御行に落とされているのだ。しかし、本作は両思いでハッピーエンドとはならない。両想いの二人は一体何をこじらせてしまったのか、付き合ってやってもいいから如何に相手に告白させるか。という分かるような分からないような拘りのもと様々な頭脳戦を繰り広げる。
頭脳戦と言っても決して大袈裟なものではなく、あくまでも日常の中で起こる些細な出来事を二人が大袈裟に捉えると言った感じで、シリアスに突入することは殆ど無い。
勿論完全に皆無な訳ではなく話が進めば少しだけ重い話も入ってくるが、決して大事件に発展することはなく、大抵三話もしないうちに元のほのぼのとして雰囲気に戻っている。
そんなこの作品の凄いところは大きな事件がなくても、そしてあらかさまなエロがなくても、読者を魅力する力を持っていることだろう。
その力の源泉はやはり魅力溢れるキャラクター達にある。努力家で他者を思いやることができる出来た主人公(でも何故か四宮かぐやの心は分からない)白銀御行。天才肌で白銀御行に惚れるまでは他者を寄せ付けなかった過去を持ち、その怜悧な頭脳で他者を容易く手玉に取る(でも何故か白銀御行には翻弄される)四宮かぐや。
他にも天然キャラの藤原千花や会計の石上優など魅力溢れるキャラクター達が数多く登場する。もしもまだ本作を読んだことがなければ是非手にとって欲しい。白銀御行と四宮かぐやを中心とした世界に、きっと貴方も魅せられることだろう。