ファイト・クラブ / Fight Club

ファイト・クラブ / Fight Club

『ファイト・クラブ』とは、1999年に公開されたデヴィッド・フィンチャー監督の映画で、チャック・パラニュークの同名小説を原作としている。現代社会の消費主義やアイデンティティの喪失をテーマにした、サイコロジカル・スリラーである。名前の明かされない主人公が不眠に悩まされるところから物語は始まっている。主人公は医者の勧めにより、様々な自助グループに参加し、そこでマーラ・シンガーというひとりの女性に出会う。またある時に主人公は、飛行機の中でカリスマ的な石鹸の販売員タイラー・ダーデンと出会い、彼の影響でFIGHT CLUBを結成する。『ファイト・クラブ』は男性たちが地下で、殴り合いをする秘密の集まりで、次第に過激な行動をエスカレートさせていく。物語が進むにつれて、主人公はタイラー・ダーデンの正体と自分自身の真実に気付き、衝撃的な結末を迎える。タイラー・ダーデンのキャラクターは、主人公の分身であり、主人公の抑圧された欲望や反抗心を具現化した存在である。

6zhaibisukasu_1のレビュー・評価・感想

ファイト・クラブ / Fight Club
10

お前は今の自分に満足しているか?

物語の主人公である「僕」は自動車のリコール調査をする会社で働いているごくごく普通、平凡なサラリーマン。ある日、ひょんなことからタイラー・ダーデンという謎の男と出会うのだった、、、。
視聴者の自己投影先である「僕」は、自分に自信がなく、貧相な体、結婚もしていない普通のサラリーマン。おそらく多くの視聴者がこの主人公を見て「俺だ、、、」と思うのではないでしょうか。そんな彼が自分とは真反対の存在のタイラー・ダーデンに出合う。彼は自分に自信がありマッチョ、おまけに顔がいいときたもんだ。全人類の男性諸君が思い浮かべる「理想の男」だ。そんな彼が「お前は今の自分に満足しているか?もし明日死ぬとして、いい人生だったと心の底から思えるか?」と幾度となく問いかけてくる。我々視聴者はハッとするだろう。「今の自分に満足なんかしていない。俺にはやりたいことがある!でも今の自分は、、、」と。タイラーは続ける。「やりたいことがあるのになぜやらない?」。単純なで鋭利な問いに「僕」を含めた我々視聴者はたじろく。
そんな「僕」とタイラーは、夜な夜なバーの地下で素手の男たちが拳一つで殴りあう「ファイトクラブ」という組織を作り、物語は思いもよらぬ方向へ傾いてゆくのだった、、、