16世記の男尊女卑の世界で、画家を目指すお嬢様
女性はまともな生活をしたければ、男性に気に入られるしかない。
そんな社会で貴族家に生まれた15歳のヒロイン・アルテは絵を描くのが大好きでしたが、そんなアルテを応援してくれる父が急逝し、もともとアルテが絵にのめり込むことを好ましく思っていなかった母は彼女が描いた絵を焼き払ってしまいます。
画家になるには工房に弟子入りするしかない時代で、アルテは知っている工房全てを訪問しますが絵を見てもらうことすらなく門前払い。
どうして話も聞いてもらえないのかを問うアルテに突きつけられた言葉は「お前が女だからだよ」。
多くの人であれば、ここで心が折れて悲しみに暮れそうなものですが、このヒロインは「悲劇のヒロイン」ではなく、その場でこの時代の女性の象徴でもある長い髪を切り落とし「だったら女を捨ててやるわよ!」と啖呵を切ります。
あまつさえ、それでも足りないならとあわや胸まで切り落としそうになったところで、一人で工房を営むレオの無理難題をこなし弟子入りすることに。
この序盤のあらすじがこの作品の最大にして圧倒的な魅力です。
誰でも心折れるような環境の中、ひどい差別を受けながらもその姿勢と実力で徐々に周囲の信用を得ていく。
性別を超越した、しかし強く魅力的な女性であるアルテの姿は読む人に憧れと勇気を与えます。