漫画も映画も、それぞれリアル。見え方が違う。
漫画では今ヶ瀬の経てきた紆余曲折が詳しく描かれており、どうしてこの場面でこういう行動に出るのかという理解を進めながら納得をもって彼の行動を理解できる。その考え方と経てきた経験をベースに主人公を翻弄していく様子が詳しく描かれている。主人公においても、今ヶ瀬との関係の深みにはまっていく様と、今ヶ瀬にはまりつつも妻やその他の女性に対する思いも全てがその時々で本物であるということがとてもよく理解できる。一人の人間からある人間を見たときに、どうしても一つの側面からしか見ることが出来ない。嘘をつくつもりがあるわけでも、ことさら傷つけたいわけではなくても、関係がうまくいかなくなってしまうことはある。人ってこうだよね、でも主人公、流されすぎ!!!でも、こういう人いるなぁ…ということをとてもリアルに感じた。漫画を読まずに映画で見ると、説明が少なく今ヶ瀬がただのヤンデレ・主人公がただのひどい男みたく見えてしまう。でも、そこがリアル。他人からある他人を見たら、よほど胸の内を明かして全ての行動を把握しているほど親しくない限り情報量はとても少なくて、そんな見え方をするものなのかな、と思った。自分と近しい人もそうでない人も、様々な過去と事情を抱えて生きている。誰も傷つけず、自分らしく生きるのは無理なのかもしれないけど、自分に対して嘘がないように、極力誰かを傷つけてしまう前に気づけるような人間でありたいと思った。