これぞ、『ドラゴンボール』
『ドラゴンボール』という日本を代表するバトル作品を体現したような映画である。この映画は大きく分けて2つのパートに分かれている。前半のパートは、かつてフリーザとその父親コルドが支配していた時代の惑星ベジータから、孫悟空とベジータ、そしてブロリーが出会うまで。後半のパートはその3人の激烈バトル、といった形だ。
今までのドラゴンボール映画はかなりバトルに偏重しており、ストーリーに重きを置いた作品はそれほど多くなかった。1995年に公開された『ドラゴンボールZ 龍拳爆発!!悟空がやらねば誰がやる』は例外的にゲストキャラクターの掘り下げが行われたが、基本的な構成は敵が出現→戦う→倒すといったものが多い傾向があった。
しかしこの映画では昔のドラゴンボール映画より40分近く尺が多いこともあってストーリーをかなり深掘りすることができており、そのおかげで今作のゲストであるブロリーのキャラクターを存分に感じることができる。
そしてその次に訪れるのが後半のパートである。ここでは息もつかせぬバトルが展開される。ベジータvsブロリー、孫悟空vsブロリーがすさまじい速さで展開され、画面の中のベジータと孫悟空同様、観客も休む暇がない。あまりのブロリーの暴れっぷりに、さすがの孫悟空・ベジータも一時的に避難し、観客はようやく一息つく。そこで孫悟空は「ベジータ、フュージョンって知ってっか」と言うのである。
ここで、ドラゴンボールを知っている観客は心のなかで歓喜したに違いない。最強の合体戦士、ゴジータの登場を確信したからだ。そして何度かの失敗を経てゴジータが爆誕するのである。
その後のバトルは先程をさらに上回る戦いである。何度も変身してブロリーを圧倒するゴジータと、それについていくブロリー。終わりなき戦いではあるが、徐々にブロリーが追い込まれていき、観客はある種ブロリーに同情すら抱き始める。これも前半でブロリーのキャラクターを見せておいた効果と言える。
ついにラストシーンで、ブロリーは意外な結末を迎える。それは今までのドラゴンボール映画の終わり方とは一線を画している…のであるが、これはぜひ本編をご覧いただきたい。
ドラゴンボールが好きな人も、昔見ていたけど離れてしまった人も、どちらにもおすすめの傑作である。