9
誰も想像しなかったような偉業を誰も想像しなかったような人物が成し遂げる。しかし、それがはたして当人にとって本当に幸福なのか?
この映画は、大戦期に実在した天才数学者アラン・チューリングを題材とする実話に基づく物語。
1939年といえば、かつての第二次世界大戦時、イギリスがドイツに宣戦布告した年です。
当時イギリスは、敵国であるドイツ軍の先制攻撃によって一方的に攻撃を受けてばかり。
イギリスは先手を打って戦局を打開しようと、ドイツが交わしている通信暗号文の解読の必要に追われていました。
数学とパズルが好きな数学者アラン・チューリングはイギリス軍の暗号文解読部門に志願。
ドイツの暗号機「エニグマ」の解読に挑みます。
同じく雇われた学者たちとエニグマの解読に挑む中で立ち塞がるのは、変わり者ゆえの周囲からの不理解や衝突といった、マイノリティとしての苦しみ。
そうした生きづらさを抱えているチューリングは、暗号解読のために現代社会において必須な「ある物」の原形を発明します。
「人間は何故暴力を振るうのか?」「戦争に勝つために必要なものは何か?」
こういった問いに対して信念を貫こうと多くの物を背負いながら、チューリングは孤独を深めていきます。
軍の極秘に関わり、犯罪者として記録から抹消されてしまった男の人生と偉業。
そんな彼の生き様とラストシーンに何を思うか?確かに生きてきた人間のドラマがそこにあります。