「あの花」と比較すると感動系の作品ではありませんが、高校生特有の「悩み」「恋」「挫折」といったものに共感できる要素は多くあり「これ、自分も感じたな…」と思える要素があるのなら青春ものとしては見る価値あり。
「心が叫びたがってるんだ」は高校の文化祭で演劇をやる事になり、無理矢理実行委員として集まる事になった男女四人が各々悩みを抱えながら前へ進んでいく青春ものです。
※少しだけネタバレがあります。
「あの花」の印象が強く映画を見た時は「イメージと違った」と感じました。
しかし、ヒロインである成瀬順の「人と話せない」「気持ちを伝える事が怖い」といった心境には個人的に近いものを感じました。
そこから作品に惹きつけられていき、他にも「何となく空気を読んで目立たようにしている坂上」「坂上との恋愛が空中分解したが、まだ恋心を抱いている仁藤」「骨折で活躍できなくなった野球部の田崎」と高校生特有の青春っぽい悩みを抱えています。
特に田崎は前半はやさぐれていて感じが悪く「なんだこいつは?」と反感を抱きましたが、衝突する中で強く人に当たられると普通にショックを受けたり、反省した所は素直に受け入れていく様子が描かれていく中で「なんだこいつ、実はいい奴じゃないか」と徐々に愛されるキャラクターになっていきます。
個人的には昔はおしゃべりだったけどある事件をきっかけに人前で話したり本音を言うと腹痛を起こす成瀬が好きで、一度恋という「救ってくれた誰か」に寄りかかるのですが最終的には自分の中で心の整理をつけて演劇を成功させる描写は共感できる人間にとって「良かったね…」と感じました。
登場人物は四人いるので誰もが一度は抱いたことのある共感できる悩みはあるかと思います。
同じ悩みを抱える高校生や青春に飢えている社会人も、心にどこか悩みがありそれに共感できるキャラクターがいるのなら一度見る価値は十分にあると思います。