怪物の仮面を被った人間か、人間の仮面を被った怪物か。
IQ100前後が人間の平均と言われる中、主人公17歳の高校2年生、金田一 一はIQ180の天才的な頭脳を持つ。だが、学校の勉強やスポーツは全くと言っていいほど出来ない。出来ることといえば祖父である名探偵である金田一耕助譲りの推理力くらいで。
金田一 一は人一倍正義感が強く、人間味が溢れるキャラクターであり、幼なじみの七瀬美雪とのコンビネーションも夫婦漫才のようで見ていてほのぼのとする。
この作品はタイトルでも分かるように主人公金田一 一が行く先々で事件に巻き込まれ、その推理力で難事件を解決していくという主題である。
どこかで聞いたことのある設定だと感じる人もいるだろう。
金田一少年の事件簿は1992から2001までマガジンで連載。2004年夏以降は不定期に、2013年から2017年は改題して連載。
2018年からは「金田一37歳の事件簿」も連載とファンから長く愛されている。
作中で起こる事件での登場人物は主人公たちを除くと4人以上が多く、その中の2人以上が殺されてしまうという所謂連続殺人である。事件を起こす犯人は「雪夜叉伝説の雪夜叉」のようなその土地に伝わる伝承に出てくる怪物をモチーフにした変装、オペラ座の怪人のような不気味な見た目の怪人を装って犯行をする。その怪人(犯人)が同行者たちの中の誰なのか、を暴くというのも1つ他と違う面白い要素。また事件毎に色んな怪物たちが登場する点も、見所である。
犯行が伝承や都市伝説等になぞらえているため、殺害方法が死体をあちこち切り取る、顔を潰された死体などとグロテスクな描写があるため、注意が必要。
金田一耕助シリーズの小説でもそういった描写が出てくるため、オマージュしたのかと私は考えた。
ある事件の被害者または身内が被害者になってしまい、その加害者を憎んで犯罪に手を染めてしまう、中には壮絶な人生を歩み自分の人生を変えたくて行動してしまうものもおり、同情というよりは人間の危うさのようなものを感じる場面が印象的だった。