GIANT KILLING / ジャイアント・キリング / ジャイキリ

GIANT KILLING / ジャイアント・キリング / ジャイキリ

『GIANT KILLING』とは、講談社の『モーニング』で2007年より連載されているサッカー漫画。原案・取材協力は綱本将也、作画はツジモト。2010年にテレビアニメ化された。元スター選手の達海猛が低迷した古巣チームの監督に就任し、強豪チームを相手に"GIANT KILLING"(番狂わせ)を起こしていく。試合だけではなく、サポーターやフロント、スポンサーや日本代表など、プロチームを多面的に扱う。読者からは「サッカー漫画というよりJリーグ漫画」と言われるほど、細部へのこだわりが魅力的な作品だ。

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GIANT KILLING / ジャイアント・キリング / ジャイキリ
10

新たな視点から見た、手に汗握るサッカー漫画。

スポーツを題材にした漫画のほとんどは選手に焦点を当てたものが多く、監督が主人公であるスポーツ漫画を読んだのはこの作品が初めてだった。
かつて選手として活躍した弱小プロサッカーチームに、海外での監督経験を経て戻ってきた主人公。
その帰還を待ちわびていたもの、大歓迎したもの、反対したもの、複雑な思いで見守るもの。
監督や選手のみならず、サポーターや経営陣それぞれの心理描写を描きながら物語は進んでいく。
この作品はジャンル分けするとすればスポーツ漫画という枠で一括りにされると思うけれど、他のスポーツ作品とはスポットの当て方が大きく異なっているように思う。
この作品はさながらスポーツを題材にしたヒューマンドラマではないだろうかと。
そう感じるのは、試合中に描かれる回想が多く、その回想が逐一魅力的だからだろうか。
サッカーというものは努力して勝利するという単純な構図ではなく、ボールを蹴る瞬間に過るその人その人の心理状態が交錯しながら進む非常に奥深いものだというように感じられる。
考えてみると1点決めれば勝利という状況で自分がゴール前でボールを持ったとしたら、絶対決められるという自信と外したらどうしようという不安が刹那に駆け巡ると思う。
その交錯した思いの中でどうするかは人それぞれ。
この作品はそのそれぞれを疎かにせず緻密に描写している。だからシュートシーンはドキドキするし、試合描写は白熱する。
サッカーをよく知らない人でもとても読みごたえを得られる、とてもワクワクするサッカー漫画だと思う。