約束のネバーランド / 約ネバ / ネバラン / The Promised Neverland

約束のネバーランド / 約ネバ / ネバラン / The Promised Neverland

『約束のネバーランド』とは白井カイウ(原作)、出水ぽすか(作画)による日本のダーク・ファンタジー・サスペンス漫画。2016年8月に『週刊少年ジャンプ』にて連載が開始された。GFハウスという孤児院で育てられた主人公のエマとその仲間達による、過酷な運命を自分の手で変えようともがき奮闘する物語である。ジャンプのセオリーである“友情、努力、勝利”を違う角度から描いている点や、独特な世界観、ミステリー要素を含むストーリー性などで人気を集め、テレビアニメ化や小説化、映画化と多岐にわたる支持を得ている。

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約束のネバーランド / 約ネバ / ネバラン / The Promised Neverland
10

お化け屋敷級のスリルが味わえる!TVアニメ「約束のネバーランド」

2019年1月からTVアニメが放送された「約束のネバーランド」。
原作/白井カイウ氏、作画/出水ぽすか氏がタッグを組み、週刊少年ジャンプ(集英社)で連載が開始された漫画が原作。この作品は連載当初から多くの漫画好きからの評価が高く、『このマンガがすごい!2018』オトコ版では1位を獲得するほど。そのような漫画がアニメ化するということで放送前から話題になっていた作品だ。

親のいない子供たちが集まる「孤児院」、グレイス=フィールド(GF)ハウス。ここでは院のシスタ—であるイザベラを「ママ」と呼び、血縁関係のない38人の子供たちが幸せに暮らしていた。朝は特殊な勉強とテストを行い、それが終わるとハウスの広い敷地内で遊ぶのが日課だった。そして6歳から12歳までの間に里親の元へと送りだされるというのがこのハウスの決まりであった。

主人公である11歳のエマ、ノーマン、レイはハウスの年長者であり、毎朝のテストでそろって満点を取ったり、兄弟姉妹と行う鬼ごっこでは最後まで捕まらないほどの運動神経を持っていたりと頭脳的・身体的にもハウス一の優秀さをほこっていた。ある夜、里親の元へ旅立つことになったコニーを見送った子供たちだったが、コニーの大切にしていたぬいぐるみを忘れていることに気が付き、それを届けるためにエマとノーマンは近づくことを禁じられていた門へ向かう。そこで2人は衝撃の真実を目にしてしまう。なんとコニーはハウスの外に住む「鬼」の「食肉」になるために出荷されていたのだ。そして「ママ」と慕っていたイザベラはそのための肉を育成して出荷するための人肉育成牧場の責任者であった。

この衝撃的な事実を知ったことにより平和そのものであったハウスで、「ママ」(イザベラ)とエマ・ノーマン・レイの水面下での激しい心理戦が始まる。エマやノーマンらは一刻も早くこの牧場を脱出しようと試みるが…。

ジャンプの正義のヒーローが戦うようなストーリー構成とは違うこの作品。若干11歳の子供が大人顔負けの頭脳と身体能力を使って脱出を試みる。その中で少しグロテスクな場面もあり、少々ブラック要素の強い作品だ。どちらかというとマガジン寄りのストーリーであるとも感じる。
物語が進むにつれて一見穏やかな生活を送る孤児たちの話のように見えるが、その裏に潜む登場人物の真の顔が徐々に明らかになる。毎回ハラハラする展開と予想を裏切る展開に引き込まれ、徐々に30分の枠が本当に短く感じる。
最終話まで見終わった後はこれまで当たり前に食してきた「家畜」や食について深く考えさせられるものであった。

気を付けた方がいいこととしてこのアニメは少しダークファンタジー要素が強く、怖いのが苦手な方は深夜に見るのはお勧めしない。
また他のアニメとは違ったキャラクター設定の表現方法が印象に残る。イザベラや後に出てくるイザベラの座を狙うシスター補佐のクローネが主人公たちの後ろから突然出てくる場面がある。その描写には恐怖心を覚えるものがあった。このようなお化け屋敷のようなスリルとそのキャラの魅力を身をもって味わえる点もこのアニメの特徴だ。

世界にはそもそも宗教上の理由から肉を食べない人もいるが、それに加えて近年は「ヴィーガン」なるものが世界中で流行している。このような世界情勢にあったストーリーとなっている。久々に「飽きる」という言葉が似合わないテレビアニメだ。