人生で一度は読んだほうが良い作品
将棋の話が中心で進んでいくのかと思っていたら、とても心温まるヒューマンドラマな漫画で、将棋が分からない人でも楽しんで読める作品だと思います。
主人公の零は悲しい過去を持っていますが、川本家の三姉妹に出会うことで徐々に自分の人生を取り戻し、自分の人生と向き合っていきます。そういうところが読んでいて、少しずつ心が潤っていくような感覚になります。
川本家の三姉妹の他にも、将棋のライバルや先輩がたくさん出てきて、それぞれ個性豊かです。その性格嫌われそうだよ!と思うようなキャラでも、おちゃめだったりおもしろかったりします。特に棋士たちの個性や心に抱えているものは、それぞれに丁寧に描かれているので、すごく人間味があります。そういうものはシリアスになってしまいそうですが、端々にユーモアがあり、クスッと笑えるシーンは多いので、重たくなりすぎていないと感じます。
また、下町の雰囲気が漂っていてほっこりしますし、川本家に居ついている猫たちは可愛いです。川本家長女のあかりがつくる料理は美味しそうで、たまに作り方やコツを紹介してくれたりもするので、一作品でいろんな要素が楽しめます。部屋の本棚のすぐにとれる位置に、常に置いておきたくなるような作品です。