サバイバルファミリー / SURVIVAL FAMILY

サバイバルファミリー / SURVIVAL FAMILY

『サバイバルファミリー』は、2017年2月に公開された日本の映画作品。脚本、監督は矢口史靖、主演は小日向文世が務めた。第1回マカオ国際映画祭・コンペティション部門出品作品。ある日、突然全国の電力供給が止まり、それに伴いガスや水道といったライフラインも全て停止してしまった日本を舞台にして、「西日本へ行けば電力網が活きている」という噂を頼りに自転車で移動する家族の姿を描く。2003年に北アメリカで実際に起きた、北アメリカ大停電にヒントを得て作られた。

fallen2のレビュー・評価・感想

サバイバルファミリー / SURVIVAL FAMILY
10

父のあり方

パニック映画が好きでよく見るのですが、ハリウッド物だとムキムキで知性的なお父さんが家族や街を守るために体を張って活躍する、というものが多いです。
そういうのも好きでなのですが、この作品にはそんなカッコいいお父さんは登場しません!(作品のジャンルとしてはコメディですが)
プライドが高くて家族や同僚の前で威張っている、よくいる中年のおっさんです。
世界中で電気が使えなくなる、という大変な事態を前に「俺に任せておけ!!」と豪語するも、何もできず不甲斐ないところばかり。
もっとも、お父さんはだけではなく、お母さんは魚も捌けないし野菜についた虫で大騒ぎだし、息子と娘はスマホ大好きな今どきの子達。
サバイバル能力ゼロの家族が、東京に残っているよりは、と熊本まで自転車で旅をしますが、順調に行くはずもなく…
最後には息子と娘から「少しは父親らしいことをしてみせろよ!」となじられ、妻からは「しょうがないでしょ。お父さんはそんな人なんだから」と本音を吐露されてしまい、父のプライドは地に落ちます。
物凄くリアルな家族が、物凄く非現実的な状況で悪戦苦闘する、という物凄く斬新で面白い映画でした。
普段威張っているだけのお父さんが家族からどう見られているのか、そしてそのハリボテの威厳が失墜した時にどう行動するのか?
スーパーヒーローのようなお父さんじゃなくても家族を守れるのか?
リアルでちょっと切なくて、笑える良質の娯楽映画です
役者の小日向文世さんがこのお父さん役にぴったりで最後まで楽しく観れました