吹き渡る風の音を聞き、どこまでも続く自分だけの世界を旅しよう!
任天堂の伝統的シリーズ「ゼルダの伝説」史上、初めてオープンワールドのシステムを取り入れた本作。その面白さ、ゲーム体験を一言で表すなら、とにかく自由であること。序盤の軽いチュートリアル的なストーリーをクリアしたら、あとはプレイヤーの気の赴くまま行きたいところを目指す。いきなりラスボスに会いに行こうと企ててもいい。これがこのゲームの進め方でありストーリーだ。
オープンワールドを謳ったゲームは数あれど、いざプレイしてみると行けないエリアが多かったり何かとシステム上の制約があったりするタイトルも多い。
それに比べ本作では、見えるところにはほぼ行ける。見るからに強そうな敵がゆく手をふさいでも、それに勇敢に立ち向かうか、戦わずに済む自分なりのルートをこそこそ進むか。それもあなた次第だ。そうやってプレイヤー一人ひとりの「リンクの冒険譚」ができあがる。
誰のプレイにも似ていない自分だけの「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」がプレイできるのが本作の最大の魅力だ。
ストーリーのゴールとして「厄災ガノン」討伐という目的は設定されているが、それにいたる道のりに何の制約もない。各地にある祠を巡って内部に仕掛けられたバラエティ豊かな謎を解けば、ライフや「がんばりゲージ」を強化できるアイテムが入手できるが、その攻略順にも決まった順序はない。
プレイヤーは本作が提供する広大なヴァーチャルワールドで心の赴くままリンクとして冒険し、生きることができる。自由とは大層なものではなく、こんな気ままな寄り道感覚の遊びにこそ息づく感覚なのかもしれない。
いろいろなしがらみに窮屈さを感じる大人のあなたにこそ、遊んで欲しい珠玉の一作だ。