読者目線の主人公
このアニメからは、どんな作品よりも「勇気」と「感動」を貰うことができます。こう聞くと、ありきたりな王道ストーリーと思われるかもしれません。しかし、この作品を見れば見るほど、理解すればするほど、そんな単純なものではないと気付かされます。
その理由として、「何者でもない」主人公が「憧れ」を追い続けながら成長していくからです。一般的に主人公はドラゴンボールの孫悟空のように強かったり、ワンピースのルフィみたいに能力者だったりと、誰もが憧れる存在です。一方、デクは視聴者からの憧れの対象ではなく、自分自身がヒーローに憧れるという主人公には珍しいタイプです。
デクは、ストーリー序盤、憧れのヒーローになれない現実を知り、葛藤します。ここの部分で、「憧れ」とは儚いもので、憧れは幻想に過ぎないと思わされます。しかし、憧れのヒーロー、オールマイトとの出会いによって、叶うはずのないヒーローへの道が開かれます。このストーリーの過程から、「勇気」と「感動」を貰うことができます。なぜなら、ヒーローに憧れている主人公デクと、アニメの主人公や尊敬する人を憧れる私たち読者が重なるからです。デクは、そういう意味で読者の目線に立った主人公です。この主人公から、どれだけの「勇気」と「感動」を与えられたか計り知れません。本当に素晴らしい作品です。