その正体はスポ根ヒューマンドラマ
3次元の女性に興味を持てないほどの重度なオタクである主人公が、同じ部活に入ってきたコスプレイヤーをきっかけに2.5次元の女性に恋を…するのか?といった主題の漫画です。
この漫画の魅力は何と言ってもヒューマンドラマであり、ラブコメであり、スポ根です。コスプレとは何か?コスプレイヤーとは何か?といった命題が各章で散らばっており、その命題に登場人物が真摯に向き合います。
そしてその命題はコスプレのみならず、オタクバレしていじめられた少女、短期打ち切りで家族と自信を失った漫画家、理想の自分を演じ続けなければならない隠れオタクなどそれぞれが心に抱える障壁をコスプレを通して壊していきます。その過程や決めシーンはつい読者の目頭を熱くするような、そんなスポ根の熱さがあります。
そして、そんなヒューマンドラマだけではありません。そもそもラブコメとして始まっているのでラブコメ要素も多くあります。ヒロインたちが主人公を好きになり、アプローチを仕掛ける様子は初々しく、ラブコメとして楽しめます。
随所に仕込まれているオタクあるあるネタやギャグも面白く、非常に満足度が高いです。
そして、これらの細かい心理描写やコスプレお披露目の絵は圧巻です。作者さんの画力の高さが窺えます。
ただ、オタクじゃない人からしたら分からないネタが結構多いので少し読者を選ぶのは難点です。
オタクにはとてもおすすめの1冊です。