新宿、見知った街が弾けていく衝撃
佐藤信介監督は「GANTZ」や「図書館戦争シリーズ」、「アイアムアヒーロー」などでスピード感あふれるアクションを多々撮っている人です。
今回はひょんなことから宇宙人に身体を改造されてしまった高校生・獅子神(佐藤健)と、ガンを宣告された余命いくばくもない初老の男”犬屋敷(木梨憲武)”の二人が人類の存亡をかけて、そして家族の命を懸けて壮絶なバトルを繰り広げる、という物語です。
アクションが展開される舞台は東京、新宿ですが、見知った街が尋常でない力で破壊されていくシーンは、もしそこに自分がいたら、と思うと怖さが倍増します。
普通の、日常の空間が壊れる怖さとでも言いましょうか。
世の中のあらゆる不幸を背負い、存在そのものが人類の中の異物のようになってしまった獅子神と、彼の行いを止めて、娘の命を守ろうとする父親としての犬屋敷の攻防戦は、木梨憲武さんの見事な老けメイクとメカニカルな体の融合というギャップによってむしろリアルさを増していくのです。
この作品で不思議な魅力を放っていたのが獅子神を助ける少女を演じた二階堂ふみさんでした。
どちらかというと存在感の濃いイメージの女優さんでしたが。
この作品の中では見事にそのオーラを消して、普通の女子高生、でも結構苦労している女の子、というイメージを作り上げていて、最初は彼女とは気づかないほどの変貌ぶりでした。それだけでも一見の価値あり、です。