水曜日が消えた

水曜日が消えた

『水曜日が消えた』とは、1人の男が曜日ごとに異なる人格になり、その様子を火曜日の「僕」の視点を通して描いた映画である。主人公は幼い頃に事故にあい、7人の人格が日替わりで現れるようになったというストーリーだ。ある日、水曜日が消え火曜日の僕が水曜日も生きはじめるようになる。はじめは2日間生きられることにはしゃいでいたが、そこから徐々に異変が現れ問題が起きていくのだった。この映画の監督・脚本はCGアーティストとしても有名な吉野耕平が、主演は今注目の俳優である中村倫也が務めている。

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水曜日が消えた
9

「水曜日が消えた」あらすじを紹介!予告動画が怖い?考察したくなる内容と伏線【ネタバレあり】

人気俳優・中村倫也が主演を演じたことでも話題の映画「水曜日が消えた」
考察が止まらなくなってしまうその内容と、瞬き厳禁の展開をご紹介します!

■「水曜日が消えた」のあらすじ

幼い頃の交通事故が原因で、曜日ごとに人格が入れ替わるようになった”僕”。
お互いを曜日で呼び合う7人は、性格も個性も異なる。
その中でも僕、"火曜日"は一番地味で退屈な存在。

いつも通りの1日を終えて眠りにつき、目覚めるのはまた1週間後の火曜日。のはずだった。
朝を迎えると、どこか様子がおかしい。見慣れないテレビ番組、初めて聞く緑道の音楽。
そう、"僕"が目覚めたのは、水曜日だった。
水曜日を満喫する"火曜日"。次の週も、その次の週も...。しかし、その楽しい日常は、音を立てて崩れていく。

■予告動画が怖い?

公開されている予告動画を見ると、序盤の楽しげな様子が一変、中盤では突然映像が途切れ、暗いスマートフォンから謎の人物の声が聞こえてきます。
この展開を見ると、もしかしてホラー作品?と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
しかしご安心ください!本編では過度な脅かし表現や、グロテスクな表現は出てきません。
シリアスなシーンもありますが、ミステリー、はたまた恋愛映画としてご覧いただける作品です。

■内容と結末

〈いつもの火曜日〉
日記と付箋のメモでやりとりをする7人の曜日。
几帳面な性格の火曜日は、散らかった部屋や他の曜日への文句を言いつつ、注意書きのメモをあちこちに残して1日が始まります。
「薬は所定の時間に必ず服用し、24時までに必ず就寝する」「運動をする」など、いくつか存在する病院の先生との決まり。

旅行にも行けない、毎日言っていることが違うから友達もできない。
1年はたった52日で、おまけに火曜日は図書館の定休日。
そのため火曜日には、旅行サイトを見ることや、卓球の壁打ちくらいしかすることがありません。
いつも様子を見にきてくれる同級生の一ノ瀬には、「つまらないなぁ、火曜日は」と言われてしまいます。

〈憧れの図書館と恋〉
水曜日に目覚めた"火曜日"。違和感に気付き、焦ってゴミを捨てに駆け出す。
いつもとは異なる世界に呆然と立ち尽くしていると、1人の女性に挨拶をされます。
今日が水曜日であることを確信し、憧れだった図書館へ向かうと、そこには今朝挨拶をした女性が。
「今日はいつもと違うんですね」と声をかけられて動揺する火曜日。
しかし、「今のも似合ってます」と付け加えられ、パッと明るい表情に...。
火曜日は図書館で働く女性、瑞野に恋をしたのです。

〈ごまかせない同級生〉
次の週の水曜日、図書館からの帰り道で一ノ瀬に声をかけられます。
彼女は、火曜日が"水曜日のフリ"をして過ごしていることに気付いていたのです。
この事を先生には黙っていて欲しいという火曜日の願いを、「少しでも異変があれば(一ノ瀬に)教える」という条件付きで聞き入れます。
このとき既に、火曜日の瑞野に対する気持ちにも気がついているようでした。
その後、図書館に戻った火曜日。
一ノ瀬が背中を押した甲斐もあり、瑞野と来週の水曜日にデートをする約束をしました。
帰り道、火曜日は嬉々とした様子で、一ノ瀬に水曜日の特徴を聞き出します。

〈崩れ始める日常〉
デートの前日。
より水曜日に近づこうと考えた火曜日は、過去の水曜日の様子を知ろうと病院の記録データを借りようとします。
それを、新しくやってきた医師・新木に相談したところ、「担当の先生の許可がないと」と断られてしまう。
翌日、結局水曜日のことはわからず終いで瑞野とデートをした火曜日。
レイトショーを観て、映画館を背に歩きながら談笑していると瑞野が、「気づいたらあなたのことばかり考えていました」と告白。
しかしその時、火曜日の意識が突然途切れ出します。
視界も、音も、まるでぽっかりと穴が空いたかのように。
恐ろしくなった火曜日は、瑞野から逃げ出すようにその場を去ってしまいます。

〈異変〉
翌週の火曜日、いつも通り病院に着くと、大勢の職員が先生の部屋から資料を運び出していました。
新木に話を聞くと、「先生は今、調査を受けています」と言う。
過去数年に渡って、"7人の僕"のデータに修正や改竄が見られており、"僕"に起きていた異変が病院に正しく報告されていなかったのだ。
それを調査するために派遣されてきたのが、新木でした。
これ以上の治療を続けるためには本人の同意が必要だ、と新木に説得されますが、受け入れることが出来ませんでした。
帰宅した火曜日は、これまで見過ごしていた違和感に気づき始めます。
金曜日が世話していたはずの植物は枯れ、冷蔵庫に貼られている付箋は自分のものばかり。
家の中を探っているとまた意識が途切れ、倒れた火曜日はそのまま眠ってしまいます。

〈木曜日〉
目が覚めると、そこは木曜日。
木曜日のスマートフォンが鳴り、咄嗟に通話ボタンを押す。
電話の内容は、仕事の催促だった。
スマートフォンを耳に当てながら、あれでもないこれでもないと部屋を漁っているうちに、水曜日の服のポケットに何か入っていることに気付く。
それは瑞野が探してると言う、図書館の装飾用の切り絵でした。
図書館に向かった火曜日は、1人作業をする瑞野に声をかける。
気まずそうにする瑞野に切り絵を渡し、
「次の水曜に渡そうと思っていたんだと思います。でも、水曜日に来たのは僕でした。あなたが待っていた、水曜日の僕ではなくて。」と告げます。
瑞野は全く理解できないといった表情でしたが、火曜日は一礼してその場を走り去ってしまいます。

その後夜道で1人、新木に渡された治療の同意書を手に、病院に電話をかける火曜日。
自分の名前を名乗り、新木に繋いでもらおうとしたその瞬間、またもや意識が途切れてしまったため、再度電話をかけようとする。
しかし、何度電話をかけようとしても、その瞬間に意識が途切れてしまう。
ふとスマートフォンを見ると、薄暗い画面に表示される再生ボタン。
恐る恐る押してみると、姿も声も自分と瓜二つなのに、話し方も態度もまるで違う誰かが写った。
軽い口調で「月曜日でーす」と名乗る男。
彼は既に、2つの曜日の人格しか存在していないと言います。

〈原因となった事故〉
記憶は幼少期まで遡る。
転校することになった"僕"は、一緒に下校していた女の子から、お別れに防犯ブザーを貰います。
両親の運転する車内で防犯ブザーをいじっていると、ピンが抜けてしまい、割れんばかりの音が鳴り響きます。
それによってハンドル操作を誤ってしまった事が事故のきっかけと思われます。
火曜日はそこでようやく思い出しました。その防犯ブザーをくれた女の子こそが、一ノ瀬だったのです。

〈物語の結末〉
月曜日が現れた日を皮切りに、”僕”の人格は1つになった。
再度新木のもとを訪ね、再治療についての説明を受ける。
さらに、先生に会う許可を得た僕は「僕たちって何なんですか、元の僕も、もういない」と、こぼします。
それに対する先生の答えは?。
「元って、どこですか。」
実はこの言葉、むかし"僕"が先生に言った言葉だったのです。
ずっと考えていたけど分からなかった、と話す先生。しかしこう続けます。
「元ではない、今の君が正しいと思う道を選んでくれ。」
しばらく家を離れると決めた僕は、そのことを一ノ瀬に話しました。
積もる話も終盤に差し掛かった頃、"僕"は一息ついて「好きだったんだね、火曜日の僕が。」と、
突然態度が一変します。なんと、一ノ瀬が火曜日だと思って話していたのは、月曜日でした。
それから月曜日は病院で、新木に"7人の僕"が署名をした同意書を見せながら、"自分の正しいと思う道"を示します。
それからしばらくして、僕はまた"7人の僕"に戻りました。
月曜日の言う正しいと思う道とは、7人で共に生きていくことだったのです。

〈考察したくなる伏線〉
考察が捗る!という声が多く聞かれるこの作品。
作中何度もフラッシュバックする事故現場。
バックミラーに写る鳥の数が表しているものとは?初めに消えたのは水曜日ではない?
繰り返し見ると、細かい伏線がそこかしこに散りばめられていることが分かります。
一度見たら最後、見逃した伏線を回収しに、何周もしてしまうこと間違いなしですね!

〈まとめ〉
映画「水曜日が消えた」のあらすじから結末までをご紹介しました。
噛めば噛むほど味が出る本作、ぜひ一度ご覧になってはいかがでしょうか。