魅力的なキャラクター達と蜘蛛の巣のように張り巡らされた伏線に目が離せません。
この作品の魅力は3つに集約されます。
1つ目は魅力的なキャラクターによる軽妙な掛け合いです。
作品に出てくるキャラクター達は動物の姿をしていてそれぞれキャラが立っており、惹かれる魅力を持っています。
中にはお笑い芸人が声優を担当しているキャラも複数出てきているのもあって、キャラ同士のやりとりが軽妙で非常に面白いです。
作中で芸人役のキャラがラジオ放送しているシーンがあるのですが、そこで必ずお手紙のコーナーで読まれるリスナーからの手紙に対するツッコミが本格的にお笑いを取り入れているのだと感じさせられます。
2つ目はそれぞれの日常が複雑に絡み合っていくストーリーです。
作中では主人公であるタクシー運転手の他に多様なキャラが出てきますが、どのキャラも余すことなくメインストーリーに繋がっていきます。
その様子は伊坂幸太郎小説のようですが、登場人物の数で言えば本作の方が多いためより複雑です。
上記においてラジオ放送のシーンを例に取りましたが、この何の変哲もないリスナーからのお手紙のコーナーでさえ後々ストーリーに取り込まれていきます。
それぞれのサブストーリーが1本の流れに収束していく気持ちよさもこの作品の魅力と言えるでしょう。
3つ目は作品を通じて存在する主人公の謎です。
本作品は動物たちが二足歩行で人の言葉を話していてまるで人間のように生活しています。
そんな中で主人公はトドの姿をしているのですが、他のキャラ達にはないある能力を持っています。
それは、通常では誰なのか分からないような状況でも主人公は誰であるか見分けられる、というものです。
分かりづらいかもしれませんが、例えば、逆光で後ろ姿を撮られた写真を見せられても即座に誰なのか判別できるのです。
ストーリーはこの謎をメインとして進んでいきますが、謎が解かれる最終話では心が晴れやかな気持ちになります。
魅力的なキャラ達と、次々と巻き起こる事件に深まる謎とエンターテインメント要素がぎゅっと詰まった作品です。
ぜひ1話だけでもこの世界を覗いてみてください。