ガンニバルの感想 「この村の人間は人を喰ってる」
「ガンニバル」は、山間にある村”供花村”を舞台に、東京から赴任してきた駐在警官・阿川大悟とその一家が奇怪な事件に巻き込まれるサスペンスホラーマンガ。
赴任当初は大悟一家を暖かく迎え入れていた”供花村(くげむら)”の人々であったが、駐在前任者の謎の失踪、また山間では老婆の死体が発見され、次第に”供花村”の不気味な実像と虚像に疑念を抱き始める大悟。
その時、まことしやかに囁かれる”供花村”のとある噂が大悟の頭をよぎる。
「この村の人間は人を喰ってる」
”供花村”の真実を暴こうと、村の住民に悟られぬよう一人暗躍し奮闘する大悟。
しかし、その先には”供花村”で生きていく上では、絶対に避けては通れない最大の敵”後藤家”の存在が行く手を阻んでいた。
”供花村”の掟、「後藤家には関わるな」。
ー果たして、大悟は”供花村”の真実を暴く事は出来るのか。そして、本当に「食人」は行われているのか。
「食人」・「後藤家」という2つのテーマに沿って物語が進行していく本作。
日本の村社会のまさに象徴ともいうべき”後藤家”とその他村住民の関係性、閉鎖的な”供花村”の存在が、
「食人」というテーマに更に輪を掛けて、読み手にある意味心地よい不快感と不気味さを与えている。
それとは裏腹に、主人公の大悟は活発・思い切りの良いキャラクターで、徐々に真実に近づくにつれ、大胆且つ豪快にその”陰湿性”に突っ込んで行く。
その姿は、まるでピンチの時に主人公が颯爽と現れ、敵キャラに一発パンチをお見舞いするような王道少年マンガのような痛快さがある。
ほぼ毎話毎話に急展開があり、次の話では誰が敵で誰が味方になっている状況なのか全く予測不能な所もまたこのマンガの魅力の一つ。
超意外な黒幕の存在。
「この村の人間は人を喰ってる」のか。
その真実は、ぜひご自分の目で確かめていただきたい。