鬼灯の冷徹 / 鬼徹 / Hozuki's Coolheadedness

『鬼灯の冷徹』(ほおずきのれいてつ)とは、2011年14号から2020年6号まで『モーニング』(講談社)に連載された、江口夏実によるブラック・コメディ漫画である。コミックスは全31巻刊行され、2022年時点で累計発行部数は1,500万部を超えた。
物語は主人公の鬼灯(ほおずき)を中心に、個性的な鬼たちの地獄の日常を描いている。また日本神話や御伽噺、怪談などに出てくるキャラクターが登場するためダーク・ファンタジーの要素が強い。
本作品は「第57回ちばてつや賞」の一般部門で佳作を受賞した『非日常的な何気ない話』を『地獄の沙汰とあれやこれ』と改題し、読み切りで『モーニング』に掲載された。その後タイトルを『鬼灯の冷徹』にして連載された。
2012年「全国書店員が選んだおすすめコミック2012」で第1位を獲得し、2021年には「第52回星雲賞」のコミック部門を受賞した。テレビアニメは2014年1月から4月まで第1期、2017年10月から12月まで第2期が放送された。

sigureのレビュー・評価・感想

鬼灯の冷徹 / 鬼徹 / Hozuki's Coolheadedness
7

統率のとれた組織には必ずいる最強の右腕の話

死後の世界「地獄」で働く鬼のトップに立つ閻魔大王。その閻魔大王の第一補佐官として頼りない閻魔に代わって地獄を統率する鬼灯という優秀な神鬼が、人間社会と同じように労働という設定で亡者たちを管理しているという作品の設定が面白い。
主人公の鬼灯は同僚や後輩の面倒見は良いが、根本の性格がドSのため上司にあたる閻魔大王への制裁は手厳しいため、弱者に優しく上位の者に媚びない姿勢が清々しい。また完璧な仕事ぶりから冷血鉄仮面のように見られることもあるが、実際は動物好きで現生への出張と称し経費で動物園に行ったり、ジブリ好きで小ネタを挟む場面が多々見られる。鬼灯以外にも、獄卒として働くさまざまな鬼や動物、さらに他国の地獄との視察交流もあるので登場人物が多く多少ごちゃごちゃするところも本作の特徴であるが、主人公がブレない性格で管理者という立場のため埋もれない存在感がある。
また地獄も人間世界のようにさまざまなイベントがあり、地獄ならではの拷問器具を活用した運動会競技に新卒獄卒がいやいや参加したり、飲み会で孫の自慢話をしてくる閻魔大王をうざがったり等、人間界でのあるあるを地獄版にアレンジしたユーモアたっぷりの作品である。