東京を生きる動物たちの日常は複雑に絡み合い、そして崩れていく…
主人公は個人タクシーを営むセイウチの男、小戸川。
決して社交的ではない彼を慕うもの、彼を利用しようとするものたちで、物語は進んでいく。
このアニメを一言で表すなら「現代」だ。
SNSに情熱を燃やすもの、ゲームに執着するもの、暗躍する反社会勢力、夢を追う若者たち、孤独な中年…。
彼ら1人1人に人生があって、そしてそれは1台のタクシーから、深く絡み合い、そして大きな事件に発展していく…。
一見児童向けアニメのようなビジュアルからは想像もつかないほどダークでリアリティのある世界観。
彼らは我々と同じようなところで生きていて、そして物語は、我々の知らないところへと向かっていく。
注目して欲しいのは個性豊かな登場人物たち。コミカルな見た目と一癖も二癖もあるキャラクター。
その裏に隠された闇…。
彼らの一挙一動は、やがてくる結末に向けて緻密に練られている。
飄々とした会話の中に真実が隠されている事もある。このアニメに見逃すところはどこにもない。
そしてそれは終わってからも…。
このアニメは最後まで観るべきだ。濃厚なミステリーは最後の最後まで謎を明かさない。
この物語がやがて終わり、液晶が暗くなって現実に戻ったとき、そこに映る自分の顔は、観る前の顔と同じだろうか…。