キャラ、セリフ、ストーリー全てが最高!
実写映画化もされた大人気漫画ですが、これは本当に素晴らしい作品です。舞台は古代中国で、下僕という最下層の身分出身の主人公・信が、数奇な運命と自らの力によって秦王・政と出会い、共に中華統一の道を追う壮大な歴史ファンタジーです。
たくさんある魅力の中でも最も光るのは、主人公・信のキャラクターと、熱いセリフではないでしょうか。不遇な生まれゆえに教養のない信は、作中バカだバカだと味方からも揶揄されますが、それだけに計算されていない飾り気のないセリフが要所要所で胸を打ちます。そしてその度に、中華統一のためにはたくさんの戦を乗り越え、無数のしかばねを超えていかなければならないシビアな現実を思い知らされますが、それでも戦い続けることの意義や、信の覚悟の大きさを知るのです。
ストーリーは司馬遷の『史記』の年号をもとに作り込まれています。史記では簡略に一行で記されるばかりの大戦を、奇想天外な装置や発想によって、見事なまでに分厚い物語に描き上げられています。また、敵味方ともに軍師の攻防戦も見ものです。兵十万人に対して一万の兵力で、いったいどう切り抜けて勝利に導くのか。国に残った軍師たちが、机上で侵食を忘れて策を練り上げるシーンは思わず脱帽してしまいます。絶対オススメの一作です!