現実と夢は表裏一体。夢を見続けた彼らは何かを失う。それを取り戻すために彼は再び夢の中へと……。
インターステラーやテネットなどの名SF映画を生み出したクリストファー・ノーラン監督のSF作。
レオナルド・ディカプリオ演じる主人公は、ターゲットの夢の中に入り大事な情報を盗み出すスパイをしていた。夢という世界は誰も無防備な状態であり、盗みをするには最適な場所だと言える。
だが、主人公はある任務にて、一緒にスパイをしていた最愛の者を失いことになる。最愛の者は昇進状態。夢の中から戻って来られなくなってしまった。しかも、彼は最愛の者を失うだけでは終わらず、指名手配をされ人生の終わりに立たされた。
そんな彼の元に任務の依頼が来る。その任務の名は「インセプション」。ターゲットの夢の中で意識を植え付けることにより、ターゲットを想いのままに動かすという任務だ。これは同じスパイの同業者でもやったことのない不可能な任務だった。
しかし、この任務を成功させることは、主人公にとって最愛の者を取り戻すためのチャンスとなる。主人公はその任務を受け、仲間と共に作戦を練り上げ、不可能任務へ挑む。
ターゲットも夢の中で対抗する手段をいくつも考えていた。主人公たちとターゲットを緻密な作戦で何度も何度も裏を読み、緊迫した中で作戦を行なっていく。見ているものもその作戦のぶつかり合いには生唾を飲むことになるだろう。何度も行われた頭脳戦。仲間の犠牲や、度重なる困難を前にして主人公は、諦めず挑み続け任務成功を果たす。
任務成功を果たした主人公だが、休まる時を知らない。彼の前に現れたのは最愛の者だった。夢の世界が崩れていきそうな時に、主人公は残るといい始める。仲間は止めるが主人公は言うことを聞かない。そして、夢は崩れ去った。
だが、主人公は生きている。それはプロローグで起きていたある伏線によるものだった。そして、主人公は最愛の者との関係をより良いものにすることができ、ハッピーエンドで物語は幕を閉じる。
この作品の素晴らしいところは、伏線の多さにある。二時間半ある本編の中に数えられないほどの伏線が用意され、進んで行く度に「これはあの時のやつか」と感動することがある。また、頭脳戦はこちらも頭を使わないとわからないことになってしまう。今が夢の世界なのか、それとも現実なのか。それはキャラクターも感じていることであろう。視聴者とキャラクターが繋がれる。そんな作品である。
少し変わった作品に出会いたいと思う方は、ぜひこの作品を見てみると良いだろう。