圧倒的世界観と躍動的アニメーション
進撃の巨人は、世の中の不条理に立ち向かう人類の葛藤と、それぞれの正義を描いた物語である。
冒頭で超大型巨人が壁を破壊し、無垢の巨人が攻めてくる情景から始まる。街は破壊され、人々は逃げ惑うしか術がない。平和に過ごしていた日々が、突如として大きなものに奪われる光景は津波を彷彿とさせる。
主人公のエレンは、母を巨人に捕食され、この世の巨人を駆逐するという強い決意のもと、幼馴染のミカサやアルミンと調査兵団に入団する。エレンはリヴァイ率いる調査兵団のリヴァイ班に所属することになる。
調査兵団で利用される立体機動装置。これが躍動的なアニメーションの要因の一つだ。建物や木などにワイヤーを繋いで移動し、2本のカッターのような刃物で巨人の急所であるうなじを切断する。女型の巨人に森で追われる描写があるが、立体機動で移動するアニメーションはとてもスリリングだ。
アニメーション制作はWIT STUDIO。躍動的で動きのあるアニメーション制作を得意としている。冒頭の巨人登場のシーンにおいてもフレームワークに圧倒される。
人々の葛藤と絶望、巨人という脅威に立ち向う勇気、何気ない人の優しさに触れ、残酷な世界の中で美しさを引き立てる作品である。