9
「普通」に疲れた時に世界が広がる作品
あらすじ:主人公桐島士郎(24)はリストラされてバーで焼け酒をしていると、知らない美女の石村亜依(28)に「うちで働かないか」といわれその場で契約書にサインする。しかしそれは契約書ではなく婚約届。桐島士郎は専業主夫としての生活を始める。
この作品は「普通はこうでしょ」「大人はこうあるべき」といったような固定観念に悩まされている人にピッタリです。作品内に、親戚一同が集まる新年会を行うシーンがあります。桐島士郎は主人公の婚約者であり雇い主の石村亜依とともに出席します。そこで手の付けられない親戚の子供に胸を殴られます。普通なら人の家庭に首を突っ込むなと言われたり、大人なんだから許してやれと思われます。しかし石村はすかさずビンタを返します。子どもであろうと一人の人間として扱い「私はお前がきらいだ」と言い放ちます。嫌なやつはどんな風になるかをその場で示しているのです。ここがこの作品の魅力で、普通や一般的に良しとされていることを正すのではなく、我慢なんてせずに自分の道を貫いているだけで変わったことはしていないのです。我慢して普通を装う世界も正しいのかもしれませんが、自己を出していく世界はもっと素晴らしいと思わせる作品です。