数字で心を通わす博士
この作品はとても心が温かく穏やかになります。
タイトルに数式とありますが、難しいことは全くありません。
あらすじとしては、シングルマザーの家政婦の杏子(深津絵里)が博士(寺尾聰)のもとへ派遣されるのですが、博士は交通事故の影響で記憶が80分しか持たないという事情を抱えていました。
しかも博士は数学のことしか頭になく、人付き合いがうまくできず、これまで何人も家政婦が入れ替わっているという状態でした。
それもそのはずで、杏子が初めて訪問したとき、挨拶をしても返ってこない。
居心地悪そうにしていると博士が唐突に靴のサイズを聞いてきます。
24cmと答えると「24。4の階乗だ。」となんでも数学にしてしまう、かなりの変わり者です。
記憶が80分なので、次の日尋ねると当然杏子のことは誰だかわかりません。
毎回自己紹介して、靴のサイズが24㎝と答えなければなりません。
杏子もこの状況に四苦八苦していましたが、博士の数学の話を興味津々に聞いて懸命に博士のことを理解しようと努めます。
ここのあたりの深津絵里さんの演技はとても愛が感じられます。
後に10歳の息子も博士と時間をともにすることになり、家族のような関係を築いていくというストーリーです。
観た翌日からの人付き合いを変えてみようと思わせてくれる作品です。
いつも杏子のように人の話を聴きたいものです。