最強のアンチヒーロー!? 『チェンソーマン』の魅力
チェンソーマンの魅力は一言でいうと「逸脱」だと思う。
主人公はチェンソーの悪魔「ポチタ」と契約しており、いざ戦闘になると、手と足がチェンソーの(冷静に考えると凄いデザインだ)チェンソーマンに変身し、血しぶきだらけのスプラッターバトルを繰り広げる。
言うなれば、現代版デビルマンである。
そして主人公のデンジの性格は、少年漫画によくある「正義感」は微塵も感じさせず、彼の行動原理は「女にモテたい」「旨いものを食いたい」が大部分を占める。
(しかし「友情」の感情は持ち合わせている)
ヒロインに関しても、マキマは中盤からサイコパスで冷酷な一面を見せ始めたり、実際めちゃくちゃ強かったり、これも王道から「逸脱」しており、そこがチェンソーマンの最大の魅力だ。
これでもかってくらい「お約束」からかけ離れた世界観だが、驚くほど緻密な伏線がちりばめられている。作者の藤本タツキ先生は、驚くべき細かいところまで
構想を練りこんでおり、様々な映画や神話の要素を上手く盛り込んでいる。読者としては、そんな伏線を注意深く見ながら楽しむこともできる作品となっている。
オマージュとなっている作品に気づいてしまったとき、「ニヤり」としてしまう、そんな作品なのである。