後世に残る名作漫画です
スラムダンクはとある高校のバスケットチームが全国大会を目指すというストーリーです。
これだけではあまり特徴が無いように思えてしまうところですが、とても熱く、濃く、読んだ者の胸を打つ漫画です。
主人公は湘北高校に通う桜木花道というバスケのバの字も知らないような不良学生ですが、ひょんなことからバスケットボールに興味を持ち湘北バスケ部に入部します。
少年漫画の主人公ながら、花道はしばらくの間まったく活躍できないどころか、一人地道に基礎練習を行います。
しかしそこがとてもリアルに描かれており、回を重ねるごとに少しづつ成長していく花道の姿に心打たれます。
また、花道のチームメートもライバルとなる他校の生徒たちも皆キャラクターが立っており、みんな魅力的です。
作者の井上雄彦先生がバスケットボール経験者なだけあって、試合運びや描写もとてもリアルで、手に汗握る展開です。
なかでも、最後の相手となる山王工業戦は圧巻です。
単行本ではこの1試合に7冊も費やされています。しかし決して中だるむことは無く、それほど細かく、濃い展開なのです。
最終巻では試合時間残り1分の話が描かれますが、ほとんどセリフがありません。
このセリフが無いことで、試合の臨場感、息の詰まるような緊迫感が引き立てられています。読者もページをめくる手が止まらないはずです。
何より、全31巻で1年間のうちの春から夏までのエピソードだったことに驚きます。
はじめにも書きましたが、それほど密度が濃く、凄まじい熱量のストーリーです。
高校生のほんの半年間の話に輝きや苦悩、喜びや悔しさなど青春のすべてが詰まっています。