しなやかに美しくおぼれろ!『トランクイリティ・ベース・ホテル・アンド・カジノ』
いったい何なんだ!これは…。完全に今の音楽シーンから浮いている。いや、乖離していると言った方が正しいかもしれない。
だけど他にはないしなやかさとその奥に隠された鋼のような美しさを、聴くもの全てに感じさせてしまうこの圧倒的な説得力は何だ!
それがアークティック・モンキーズの4年半振りのニューアルバムである『トランクイリティ・ベース・ホテル・アンド・カジノ』である。
前作では70年代ハードロックと最新型UKラップ、ソフトなファンクを融合しハイブリッドな作品を生み出す事に成功した彼等であったが今回はその真逆を行っている。
確かにラップ調の展開やリリックは今までどうり健在だが、その反面ピアノに導かれるメロディあくまで優しく美しく、肌触りはとことんメロウでしなやかである。
だが、その根底に潜む鋼のような自我がそのサウンドとは対照的にギラギラと静かな炎の如く見え隠れする。
これはフロントマンであるアレックス・ターナーの今の音楽シーンへの反骨心なのか、はたまた挑戦なのかはリスナーそれぞれの意志に任されるのだが、
一つだけ確実にいいきれるのは…アレックス・ターナーは本当に歌が大好きなんだ!音楽を愛しているんだという事実がひしひしと伝わってくるいう事である。
その結果、微笑みと安心と優しさを届けてくれる素晴らしアルバムになり得たのである。
大傑作である。みなさんもメロウな優しさにどっぷりと浸かってみてはいかがだろうか?