Return of the Obra Dinn

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Return of the Obra Dinn
10

ミステリフリークも大満足間違いなしの推理アドベンチャーゲーム

ミステリ好きを唸らせるインディーズゲーム、それが「オブラ・ディン号の帰還」だ。
2018年にsteamで発表されたのち、2019年にSwitch/XB1/PS4それぞれでもリリースされた。

この秀逸なゲームを開発、制作したのは奇才と名高いゲームクリエイターLucas Pope氏。
彼の前作「Papers, Please」も数々の賞を受賞するなど、高い評価を得ている。

このゲームは、プレイヤーが1800年代初頭のイギリス大航海時代の保健調査員となって、無人の帰還を果たした商船「オブラ・ディン号」について調査し謎解きしていく。
画面全体は90年代初頭までのモノクロブラウン管画面の様に荒いモノクロドットで表現され、少し見づらい部分もあるかもしれない。
が、その不明瞭な画面とストリングス、パイプオルガンが奏でる怪しげながらも美しい音楽が世界観を情緒たっぷりに演出している。

ゲームをスタートさせるとその操作に少し戸惑うかもしれないが、最初の章はチュートリアルを兼ねており20分ほどで操作に慣れることができる。
全体として2時間ほどでストーリー全てを見ることができる。ストーリー毎の合間で登場人物の身元、安否について推理していく形なので全体のプレイ時間としては8?12時間程になる。

プレイヤーの分身、保険調査員は「メメント・モーテム」と刻まれた思念を呼び起こす不思議な懐中時計と何者かの手記を頼りに、オブラ・ディン号の中を自由に歩き回り調査し、船上で起きた真実を解き明かしていく。
乗船者の身元を特定し安否を確認していくために、全員分の根拠となる証拠がきちんと用意されている。難易度によって複数の根拠が用意されたり、ほんのわずか、見逃しそうなほど小さな根拠だったりと様々だが、特定に至る根拠を見つけ、当てはめたものが正しかった時の達成感、充実感はたまらない。
また、イギリスの大航海時代を舞台設定にしているので、その頃のイギリスや世界各国の情勢、その頃の船乗り達が信じていた迷信などをあらかじめ下調べしておくと、より深くこのゲームを楽しむことができるだろう。

ひとつ、「オブラ・ディン号の帰還」をプレイする上で注意したいのは、人体切断などのショッキングな暴力シーンがあることだ。
グロテスクな描写に耐性がない人にはオススメできないが、謎解きの腕に覚えがある人にはぜひ一度プレイしていただきたい。