King Gnu / キングヌー

「King Gnu」は日本のロックバンドである。メンバーは全員男性で、ボーカル兼ギターの常田大希・ドラムス兼サンプラーの勢喜遊・ベースの新井和輝・ボーカル兼キーボードの井口理の4人で構成されている。アリオラジャパンというレーベルに所属している。
2013年から常田大希がバンドを立ち上げ、メンバー変更などを経て2017年に「King Gnu」として活動を開始した。常田大希は「millennium parade」という音学プロジェクトの主宰を行なっており、「King Gnu」の他のメンバーもプロジェクトに参加している。
「King Gnu」の特徴として、オペラのような高音を出す井口とロックバンド特有の低音を出す常田という真反対のボーカルが所属していることが挙げられる。また、曲の構成やメロディーのテンポ、高音や低音の使い分けなどをうまく利用しており、非常に知的なバンドである。
2019年に出された「白日」は大きな反響を受け、2021年には100万ダウンロードを達成した。また、「白日」と同じく2019年に出されたメジャーデビュー作品『Sympa』は日本レコード大賞を受賞した。
製作した曲のミュージックビデオをYouTube上に投稿しており、2020年には登録者数100万を突破、2022年の時点で200万人以上の登録者を保持している。

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King Gnu / キングヌー
10

醜さを認めてくれる曲

King Gnuの曲風は基本的には大人っぽいものが多いです。
具体的に言うと、社会風刺や、複雑な恋愛、生きていくことの痛み、苦しみ。
そういったものを音楽で表しているのかな、と思います。
このグループは常田大希という鬼才が率いる、ありとあらゆる人間のリアルさを、言葉と音にのせて最大限に引き出す天才集団である、と言っても過言ではないでしょう。
私たちが日頃抱いている思いを、メロディーも踏まえて表し、私たちの心を強く揺るがせてくるようです。

彼らの曲の中でも特に有名なものの一つに、「白日」という曲があります。ご存知の方も多いことでしょうが、この曲は、特にわかりやすく人間味を表しているように思えます。歌詞も私たちに伝わりやすい直球な表現がされており、曲調も何となく寂しげですね。
しかしながら、サビに入ると力強いメロディーに変化します。それまで、落ち着いた、少し悲しい感じの曲調から、一気に強く訴えかけるような曲調に変化します。
彼らの曲にはこういった流れのものが多いように思えますが、ここにKing Gnuの魅力が詰まっていると言えるのではないでしょうか。

痛みや苦しみ、罪悪感や劣等感、そういった負の強い思いは、我々人間が互いに関わりあって生きている以上、避けては通れないものです。
普段は他人に見えないようひっそりと隠していようとも、必ずそれらの思いは少しずつ積み重なり、やがて心の中にどしんと居座るようになります。
そんな私たちの心に住み着いた重い気持ちを、King Gnuの曲はサビ外で少しずつ溶かし、サビで弾けさせる。

こうして、私たちの心の重りを少し楽にさせてくれているような気がします。
King Gnuの曲はそうやって、私たちの人間の醜いとも言うべき一面を認めてくれるからこそ、ここまでの人気を誇れたのではないでしょうか。
己の醜さに苦しみ、罪悪感に潰されそうになった方は、ぜひKing Gnuの曲を聴くことをおすすめします。