醜さを認めてくれる曲
King Gnuの曲風は基本的には大人っぽいものが多いです。
具体的に言うと、社会風刺や、複雑な恋愛、生きていくことの痛み、苦しみ。
そういったものを音楽で表しているのかな、と思います。
このグループは常田大希という鬼才が率いる、ありとあらゆる人間のリアルさを、言葉と音にのせて最大限に引き出す天才集団である、と言っても過言ではないでしょう。
私たちが日頃抱いている思いを、メロディーも踏まえて表し、私たちの心を強く揺るがせてくるようです。
彼らの曲の中でも特に有名なものの一つに、「白日」という曲があります。ご存知の方も多いことでしょうが、この曲は、特にわかりやすく人間味を表しているように思えます。歌詞も私たちに伝わりやすい直球な表現がされており、曲調も何となく寂しげですね。
しかしながら、サビに入ると力強いメロディーに変化します。それまで、落ち着いた、少し悲しい感じの曲調から、一気に強く訴えかけるような曲調に変化します。
彼らの曲にはこういった流れのものが多いように思えますが、ここにKing Gnuの魅力が詰まっていると言えるのではないでしょうか。
痛みや苦しみ、罪悪感や劣等感、そういった負の強い思いは、我々人間が互いに関わりあって生きている以上、避けては通れないものです。
普段は他人に見えないようひっそりと隠していようとも、必ずそれらの思いは少しずつ積み重なり、やがて心の中にどしんと居座るようになります。
そんな私たちの心に住み着いた重い気持ちを、King Gnuの曲はサビ外で少しずつ溶かし、サビで弾けさせる。
こうして、私たちの心の重りを少し楽にさせてくれているような気がします。
King Gnuの曲はそうやって、私たちの人間の醜いとも言うべき一面を認めてくれるからこそ、ここまでの人気を誇れたのではないでしょうか。
己の醜さに苦しみ、罪悪感に潰されそうになった方は、ぜひKing Gnuの曲を聴くことをおすすめします。