あのこは貴族

あのこは貴族

『あのこは貴族』(あのこはきぞく)は、2021年2月26日に公開された日本のヒューマンドラマ映画。2016年に集英社より出版された、山内マリコの同名小説を原作とする。制作・配給は東京テアトル。監督は『グッド・ストライプス』の岨手由貴子、主演は門脇麦と水原希子。公開に先駆けて、2020年11月5日、第33回東京国際映画祭にて特別招待作品としてワールドプレミア上映された。
東京の街で、普段交わることのない世界を生きる女性2人が変化していく姿や、それぞれが抱える息苦しさを描く。都内で暮らす箱入り娘・榛原華子(門脇麦)と、地方から上京しOLとして働く時岡美紀(水原希子)。20代後半特有の息苦しさを抱える2人が、青木幸一郎(高良健吾)をきっかけに、出会い、自らの仕事や人生を見つめ直す。
生々しく描かれる東京の様相や、現代の独身女性が抱く悩みや息苦しさが、多くの共感を得た。
2021年10月27日に、Blu-ray・DVDが発売された。

satomit4のレビュー・評価・感想

レビューを書く
あのこは貴族
8

階層からの脱出

程度に差はあっても非常に身近なテーマだったので心に響きました。
たくさんの人間が一つの場所に集まっているように見えても実際は階層に分かれていて、別の階層の人と交わることなく生きているということが上手く描かれていました。
一見恵まれた環境に生まれ育った人でも自分の人生の選択肢が非常に狭く、結局親の人生を辿るだけという閉鎖性が上手く描かれていました。
登場人物たちははじめ、各々の階層に縛られて苦しみましたが、階層から脱出して自由に自分の人生を歩んでいる姿が描かれていて清々しかったです。
世間的に見れば道を踏み外したとも言われかねないのかもしれませんが、階層からのいい意味での脱却ができていたと思います。
絶対的なハッピーエンドではないかもしれませんが、自分にとっての幸せを掴むための入り口にそれぞれが立てていて気持ちの良い終わり方でした。
また、俳優陣の演技力がとても高かったです。門脇麦さんがお嬢様役を演じていましたが、わざとらしさが全くなく世間知らずな年頃の女性を上手く表現していました。
水原希子さんも演技力が高くびっくりしました。
あまり裕福ではない田舎出身の女性という、水原さん本人のイメージとはかけ離れた役でしたがきちんと演じきっていて素晴らしかったです。