教科書を覆したドラゴンクエストIVからの挑戦状
ドラゴンクエストが大人気なのは、ロールプレイングゲームの教科書だからです。1では基本を、2では3人組で、そして3では転職。RPGの基本的な概念をロト3部作でプレイヤーに伝えることが出来たからこそ、RPG=ドラクエという認識になっているのです。そして、ロト3部作の次に発売されたのがドラゴンクエスト4です。
それまではRPGの教科書という立ち位置だったドラゴンクエストですが、4ではプレイヤーに「挑戦状」を叩きつけてきました。それは、RPGの教科書で示されていた不文律を覆したからです。RPGの不文律として「レベルを上げて強くなった勇者が魔王を倒しに行く」というのがあるのですが、ドラクエ4の魔族の王ピサロは、まだ子どもの頃の勇者を亡き者にするために村ごと滅ぼしてみせます。難を逃れた勇者は文字通り天涯孤独の身になって、そこから冒険が始まるのです。
そしてもうひとつの不文律は魔王=悪という図式です。RPGは基本的には勧善懲悪なのですが、ドラクエ4では魔王ピサロが愛していた妖精ロザリーが人間に殺されてしまうのです。人間への憎悪に駆られたピサロはデスピサロとなって人間たちを滅ぼそうとするのです。デスピサロとの戦いでは、何とも言えない怒りと悲しみが入り混じった、重くて深い感情と共に攻撃を繰り出していたことを昨日のことのように覚えています。