「進撃の巨人」が進み続ける、その先は?
閉ざされた壁の中の”世界”で、100年の平穏を保ってきた人類。
物語は、謎に満ちた超大型巨人の突然の襲来により、人類の平穏があっけなく崩壊するところから始まる。
人類を捕食する巨人の正体は? 敵の目的は? 壁外には一体何があるのか?
謎が謎を呼ぶストーリーに、張り巡らされた伏線。なおかつ予測のできない展開の連続に、読者(およびアニメ視聴者)は、あっという間に引き込まれる。
そして「進撃の巨人」が特に興味深いのは、物語が後半に差し掛かり主人公たちが壁外の世界を知った後、
あえて数話分を割いて、敵側目線からのストーリーが展開されるところである。
急に主役が交代したかのような敵国の目線からエレン達を見ることで、読者は主人公側のみならず、敵側からの視点をも獲得することとなる。
その結果、現代社会や現実の我々の世界ともリンクするような、差別や歴史問題および政治・哲学など、人間の本質を抉りだすような解決困難な論点が
次々と浮き彫りになる”仕掛け”となっている。
タイトルである「進撃の巨人」は、主人公エレンが父から受け継いだ巨人の名称であることが物語の中盤に明かされるが、
ひたすら”進撃”を続ける主人公エレンは、物語終盤には敵のみならず、味方や親友をも”置き去り”にしてしまう。
どんな結末を迎えるのか、最後まで目を離すことのできない歴史的名作である。