カルチャーの創造
変態音楽家集団。この言葉がよく似合う。彼らは今までの音楽をリスペクトしつつ、見事に自分たち独自の音楽を作り上げている。バンド内の二人が東京藝術大学の出身者であることはもう何百回と言われてきたことだろう。しかしそのキャリアはもはや横に置いておきたい。いや本人からすれば置いておきたくないほどの努力はあっただろうが、そこを通過しなくともどこかで頭角を現し世に出てきていたことは明らかである。バンドをあえてジャンル分けするならば「ミクスチャーロック」ということになるだろう。このジャンルにはアメリカのビッグバンドRage Against the Machineがいる。ボーカルがドレッドヘアを振り乱しながらヒップホップを歌い、楽器隊がロックをかき鳴らす。ギターはハーバード大学出身のこれまた変態だ。何故かギターからターンテーブルのスクラッチ音が出る。King Gnuのフロントマン、常田もこれに匹敵するものがある。どんな改造を施してあるのだろうという見た目のギターでステージに立ち、その時に鳴らしたい音を出す。それは他の楽器隊も同じで、その根幹にあるものは変態的な音楽への愛情である。そこにボーカル井口の洗練された歌声が乗る。このバンドでなければ成立しないバランスだ。