予定調和や勧善懲悪を超越した挑戦状
ドラゴンクエストというと、どうしても1・2・3のロト三部作が有名ですが、ロールプレイングゲーム(以下RPG)の不文律である「勧善懲悪」をひっくり返してみせたドラゴンクエスト4は、シナリオ担当の堀井雄二さんからの、ドラクエユーザーに対する挑戦状だと思いました。
主人公が勇者として目覚めるのと同じように、魔族の王であるピサロが人類を滅ぼそうとするきっかけも紹介されてゆくストーリー展開に思わず「そりゃ人類滅ぼしたくなるよね」と同感してしまうほどです。
そして、主人公には旅の仲間が増えてゆくのに、ピサロは常にひとりで行動していきます。
この勇者とラスボスの対比も見事で、ラスボスのはずのデスピサロに攻撃をしてしまう手が躊躇してしまうほどです。
その後、ドラクエ4がプレイステーションやニンテンドーDSに移植された際には、エンディング後のオマケとして、デスピサロから自我を取り戻したピサロが勇者たちと旅を共にして、裏ラスボスに挑むという追加ストーリーがつくほど、ピサロはプレイヤーに愛されたラスボスという稀有な立ち位置になりました。
主人公が善、敵役が悪という勧善懲悪を超えた先にある勇者たちの戦いは、ラスボスで化物になってしまったピサロを救えなかったという点でハッピーエンドになりきれないやりきれなさが心に残る、
ドラクエ史上最も切ない物語だったファミコン版がおすすめですが、現在ではDS版が一番入手しやすいと思います。
是非プレイしてみて下さい。