日本最古の小説といわれる源氏物語の世界を忠実に再現した漫画を超えた芸術作品
紫式部によって記された源氏物語。
この絢爛豪華な平安絵巻を、大和和紀が“あさきゆめみし”という作品で見事に描き切りました。
古典文学の代表作として、だれでも作品名くらいはご存じでしょう。
学校によっては課題として原文まま一部抜粋して国語や古典の授業で取り上げられることも多い作品です。
この作品を忠実に再現しつつ、独自の世界観をもって昇華させた作品が“あさきゆめみし”です。
まず、大和和紀は他の作品においても、美男美女を描かせたら天下一品。
その人が天下の美男・光源氏を主人公にすえて、あまたとりまく高貴な美女たちを描いていくのですから、もうそれは現実離れした作画なのです。
とにかく、衣装ひとつにしても十二単などとにかくディティールにこだわった徹底ぶり。
作中の姫君たちの衣擦れの音やたきしめた香の薫りなどが手に取るように感じられます。
とにかく、女性にとってはうっとりする世界がそこに広がっているのです。
また、原作にとても忠実な展開で、この漫画を読むことによって源氏物語の話の展開や登場人物、主人公との関係性などもほとんど知ることができますので、原作を読んでいなくても国語(古典)の授業には充分ついていけます。
また、個性豊かなキャラクターが多く、その人の好みによってひいきの登場人物があるのでそれを語り合うのもまた一興です。