強烈なオタク達が愛しく、笑える!
東村アキコの作品といえば、デフォルメされた濃いキャラクターが登場するのが魅力ですが、この『海月姫』にも、強烈なキャラクター達が集結しています。
この漫画の主人公、月海が暮らすのは、天水館というシェアハウスのようなところ。ここは男子禁制で、女性ばかりで暮らしています。
そして、彼女たちは全員オタクなのです。歴史オタク、鉄道オタク、アンティーク着物オタクなどなど…、それぞれの個性が強調されていて、なおかつ本当にいそうな感じがするキャラクターばかりです。
作者が各界のオタクについてリサーチしたのか、そういう界隈に詳しいのかわかりませんけども、彼女たちのキャラクター設定と描写には脱帽させられると同時に、かなり笑わされました。
しかも、彼女たちの呼び名は「尼~ず」。男を必要とせず、オタク活動に打ち込むことから名づけられたのでしょうが、この発想がすごいと思います。そして、社会的には日陰の存在として生きている尼~ずですが、読んでいて私もこんな仲間と暮らしたいと思えるような楽しさがあります。
尼~ずの天敵は男性とオシャレ人間です。
しかし、そのどちらの特性も兼ね備えた人物が天水館に出入りすることに。
この人物、蔵之介の存在によって、尼~ずは外界に駆り出され、ストーリーが展開していきます。
女顔負けの美しさで、ファッショナブルなリア充の蔵之介は、一見、尼~ずと真逆の人間のように見えますが、言うなれば彼もファッションオタクで、なんだかんだ言って尼~ずと相性が良く、そんなところが微笑ましかったです。