求めるものが手にできず、求めないものが手にする映画
立方体(キューブ)で構成され、トラップが張り巡らされた謎の迷宮に突如放り込まれた男女6人の脱出劇を描く物語です。1人の男性がキューブ内で目覚め、その罠にはまり無惨に死んでいく、という場面から始まり、キューブの危険性が見る人の目に焼き付きます。
一見無秩序な構造に思えるキューブですが、数字に基づいた法則性があり、主人公たちはその法則を見破りながら進んでいきます。登場人物たちに共通点はなく、一番幼い自閉症のカザンを除いて皆脱出しようと奮闘します。カザンは自閉症が原因で世界のどこにも居場所がないため脱出に前向きではありませんが、脱出するにはカザンの能力が必要なため、他の5人についていきます。最後にはカザン一人になってしまい、カザンは気の進まないまま外の世界へと脱出を成功させます。(CUBEZEROでは最後に試練があることが明かされており、本当にカザンが脱出できたのかは分かりません。)
この作品は他のホラー・ミステリー作品と同じように、登場人物間での裏切り、極限状態の人間の行動がテーマなのだと思いますが、その裏に、皆が望むものを望まない者が手に入れた時のやるせなさ、無気力が隠されていると感じました。
とてもおもしろかったです。