ランペイジ 巨獣大乱闘

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ランペイジ 巨獣大乱闘
7

モンスターパニックムービーのニュースタンダード!

でっかいゴリラとでっかい狼ととてもでっかいワニの三つ巴に一人奮闘するドゥエイン・ジョンソン…この映画を簡単にまとめると以上になります。いや、もちろんそこに至るまでには遺伝子組み換えに一攫千金を狙う大企業の陰謀とか、自分の研究を悪用され復讐を胸に行動する女性科学者とか、やっぱり役に立たないアメリカ軍と頭の固い指揮官とかお約束の設定のフルコース状態なんですが、すべてはドゥエインの筋肉の前に勝てないのです。それでも彼と手話で心を通わせるアルビノの雄ゴリラ・ジョージとのやり取りは、微笑ましくもユーモアに満ち、ああそう言えば今回の役柄は動物学者だったと再認識させてくれます。しかしあくまでも主役はジョージで、ドゥエイン演じるデイビスは状況に翻弄されるのみ。女性科学者とのロマンス的なシーンすらありません。なぜ悪の大企業が自社ビルの最上階にジョージたち巨獣を集める電波塔を立て、わざわざそれを破壊させるように仕向けるのか。軍隊の攻撃はちっとも効かないのにデイビスの投げた手榴弾にはダメージを受けるのか。意味ありげに暗躍する髭面の男の正体は何か。そういった疑問は何一つ解決しないまま、シカゴの大破壊とゴリラの下品なジョークで終わりです。これは1980年代のB級ビデオではありません、れっきとした21世紀の劇場作品なのです。ひとつ異なる点は、巨獣もシカゴの街並みも、等身大のジョージすらも全てCGグラフィックスで描かれているという部分。冒頭に登場する動物園のゴリラたちまで、人間の演技にCGを被せたものであり、その体毛一本一本まで綿密に再現された映像は言われなければ本当に分からなかったほどです。監督であるブラッド・ペイトンもドゥエインも、子どもの頃に日本も含む怪獣映画を観て育ったことを明言しており、本作品がそれらのリスペクトに溢れているのもよく分かります。巨大な怪獣に翻弄される人間たち。蹂躙される街。延々続く怪獣同士のド突き合い。これは頭を空にしてただひたすら楽しむ映画だと思います。