一気読み間違いなし
巨人と、それに立ち向かう調査兵団。巨人は途方もない力を持ち、容易に人を殺してしまうため、一瞬たりとも油断は出来ない。それは読者も同じで、目を離せなくなる。進撃の巨人はどの登場人物も人間味があり、優しさや強さを持ち合わせているため、感情移入してしまう。そんなキャラクターが、巨人に握りつぶされ、あっと言う間に絶命してしまう様子は、読んでいるこちらまで絶望と恐怖を目の当たりにする。次のページを開けない。でも、先に進まなければ、次の話に進めない。最早苦しささえ感じながら読み進める。その先にあるのは希望だと、登場人物と全く同じ心になっているのは、その時には気づけない。希望を願ってしまうのは、読者の心情だと思われるが、それを筆者の諌山創に手玉に取られてしまう。読者は血反吐を吐きながら戦う調査兵団と共に、絶望のシナリオに胸を痛め、やり場のない感情に翻弄されてしまう。漫画から顔を上げると、ほっとする。そのドキドキがたまらなく面白く、皆が惹きつけられる理由に間違いない。調査兵団は、巨人と戦うだけじゃない。兵団は誰もが悩みを抱え、それと対峙し、対話しながら、疑問を抱えて前に進んでいく。先にあるのは絶望か希望か、読者も戦士になった心持で読んでしまう、壮絶な漫画だ。