盾の勇者の成り上がり / The Rising of the Shield Hero

盾の勇者の成り上がり / The Rising of the Shield Hero

『盾の勇者の成り上がり』とは、アネコユサギによるライトノベルおよびそれを基にした漫画、アニメ作品。異世界に召喚された大学生・岩谷尚文が「盾の勇者」として数々の試練に立ち向かい、仲間と共に成長する物語だ。原作は「小説家になろう」で連載後、書籍化された。漫画版は『月刊コミックフラッパー』で連載され、ビジュアル面での評価も高い。アニメは2019年に第1期が放送され、迫力ある映像で多くのファンを魅了した。

7x0726haruのレビュー・評価・感想

盾の勇者の成り上がり / The Rising of the Shield Hero
10

他の異世界モノとは一線を画す、成り上がりのストーリー

この作品はタイトルにある通り、どん底からの成り上がっていくストーリーです。最初はいわゆる胸糞が悪い展開が多いですが、徐々にそれが良い方向に転じていくのが気持ちよいです。異世界モノでこのようにしっかり成り上がっていく作品は珍しいので、異世界モノに飽きている人や逆転劇が好きな人にはおススメです。
主人公を含む4人は異世界から召喚され、勇者として戦うことを求められます。多くの異世界モノは特別な力を使って活躍するところですが、この作品ではそうはなりませんでした。主人公は盾の勇者として召喚されましたが、まともに攻撃することができない不遇な立場でした。そのうえ、召喚されてすぐに信じていた相手に濡れ衣を着せられて孤立してしまいます。主人公は人間不信に陥ってしまいましたが、その一方で自分では攻撃ができないので人を頼らなくてはならないというジレンマに陥ります。
そこで攻撃担当として、無理やり言うことを聞かせることができる奴隷の少女を買うことになります。
このままどんどん悪い方向に落ちて行ってしまいそうですが、仲間の存在や旅で出会う人との交流が少しずつ主人公の気持ちや状況を変えていきます。やがて主人公は人間不信でシニカルな態度を取りつつも、優しさも持ち合わせたダークヒーローのような存在になっていきます。その変化していく様子がまさに成り上がりであり、感動を生む部分でもあります。
また、奴隷の少女であるラフタリアをはじめとして主人公を取り巻く人物も魅力的です。こういった人物たちもそれぞれに抱えている事情があり、それを乗り越えていく様子もしっかりと描かれています。異世界モノの多くは主人公の強さで周囲の人の問題はあっさりと解決してしまうので、人物の深堀がイマイチです。この作品は主人公自身も大変な状況に置かれているため、そう簡単に問題は解決することができません。それゆえに人物一人ひとりがしっかりと描かれています。この作品を見るときは周りの人物にもきっと魅了されることでしょう。
ご視聴をおすすめできる作品ではありますが、序盤は気分が悪くなる展開が続くので、最初の数話は一気見した方が良いです。