美形の宝石商が宝石と顧客にまつわる様々な謎をひも解いていくミステリー
主人公は正義感あふれる大学生の中田正義で、ふとしたことで宝石商のリチャードと知り合いになり、彼の店でバイトをすることになります。銀座に店を構えるリチャードの店は、一般的な宝石店とは違い店内には一見すると宝石はおいてありません。しかし場所柄もあって顧客は富裕層が多く、高価な宝石を扱っているのです。そんな店とリチャードに対して、中田正義はあまりにも自分の環境との違いを感じて中々なじめませんでした。それでも正義の仕事の一つである美味しいチャイを入れることにも慣れていきます。クールで仕事ができる男リチャードですが、実は無類の甘党なので正義は色々な店の甘味を求めて走り回るのです。二人は時に考え方の違いで、ぶつかり合いもしますが基本的なところでは似ています。特に理知的で何事にも動揺しないかのようなリチャードが、本当は正義同様に正義感あふれる青年であることなど二人は近いものがあるのです。正義は将来公務員になろうと希望していますが、そのきっかけとなったのは祖母と母親の関係性が影響しています。若くして未亡人となった祖母は、子供を養っていくためにスリをしてお金を稼いでいたのです。そのことで正義の母親とは不仲なままでしたし、祖母亡き後も母親と正義の中も上手くいってはいません。一方でリチャードも遺産相続の問題で実家とは決裂したままになっています。そんな二人がいつの間にか気があって、仲良くなっていくのです。