錬金術師の兄弟の話
幼くして亡くした母親を生き返らせるため、兄弟は錬金術を独学で学び、人体練成という禁忌を犯した。
その結果、弟は体そのものを失い、兄は命からがら弟の魂を鎧に練成し、兄は最終的に片腕と片足を失った。
その後、まだ幼い兄弟が元の体を取り戻すべく、世界を旅する物語。
冒頭から絶望的な状況で物語が始まり、引き込まれてしまう。
その絶望の中でも、兄弟が前向きに進み続ける姿が印象的。
旅の途中で出会う錬金術師の中で、真理を求めるあまり、自分の研究を優先して、妻や娘を錬金術でキメラにしてしまうシーンは特にゾッっとしました。
人間の欲望や闇に触れるシーンも鮮明に描かれており、登場する大人が、主人公である子供に諭されるシーンなど、見ていて深く考えさせられる物語です。
登場する仲間達も、それぞれの意志や考え方の違いが明確にわかるようになっているので、非常に魅力的です。
敵役として登場する人物も、完全な悪役とは言えず、それぞれの信念を持って行動しているのがわかりやすく描かれています。
だから敵役の登場人物も非常に魅力的でした。
戦闘シーンもスピード感があり、見ていて飽きません。錬金術での攻撃もかっこいいです。
最終的には目的を遂げ、新たな旅に出ます。最後まで前を向いて歩み続ける兄弟が最高でした。
物語の始まり方、魅力的な登場人物、戦闘シーン、各章での深いテーマ、どれをとっても秀逸といわざるを得ません。
是非、おすすめしたい作品です。