不謹慎な紳士
キングスマンシリーズは、こちらの第1作目があまりにもバカバカしく傑作だったと思います。
イギリス映画にありそうな数々の心躍るスパイ道具のガジェットや、序盤から中盤にかけての主人公の成長譚だけで終わればこの映画は平凡な良作に終始していたかと思います。この映画の凄いところは丁寧に積み上げた前半を後半から最終盤にかけて自らの手で全てぶち壊すことです。
物語が折り返す頃、主人公エグジーの師匠であるハリーが教会で大暴れするあたりからこの作品の不謹慎さが見え隠れしますが、このワンカットがもうめちゃくちゃにカッコイイです。一体どうやって撮影しているんだ…?というか、この作品の本番はここからだったんだなあと私は理解しています。
話の中核を担うと思われたハリーを無慈悲に退場させたあと、下品な富豪陣営とお上品(嘘)なキングスマン陣営の直接対決に向かっていくのですが、ウィットに富んだブラックジョークで何度声を出してゲラゲラ笑ったか思い出せないし、アクションシーンは漏れなくかっこいい。善悪の概念が入り乱れ脳内が麻痺してきたところでトドメの威風堂々スパークはもう最悪で最高。イギリス第2の国歌と言われる名曲をあんなに下品に贅沢に使う映画は後にも先にも出てこないのではないかと思います。
続編も見たし続々編も見ちゃうんだろうなあと思いますが、キングスマンは1作目が最悪に最高すぎました。大好きです。評価が9なのは手放しではオススメできないから。これを好きになれない人、絶対にいますから。