超本格的音楽&超青春マンガ!
日本で生まれ育ちながら伝統の和楽器「箏」に触れたことのある人は少ないだろう。なんとなく敷居が高くて近寄りにくいイメージが浸透しているからなおさらだ。
このマンガはすごい!革命的だ。
お箏が世間の表舞台に堂々と現れた。これは箏をする者は大歓喜である。どういう曲をどんなふうに演奏しているのかの表現が素晴らしい。
17巻で新入部員の由永くんとモモヤンがそれぞれ「六段の調べ」のさわりを弾く場面があるが、
ここのオノマトペだけで由永くんは古典向き、モモヤンは現代曲向きのセンスを持ち合わせていることがわかる。
経験者であればより楽しめると思うが、もちろん未経験者もキャラクターがどんな曲の演奏をしているのかイメージをつかみやすい表現がふんだんに盛り込まれている。
例えば合奏の場面ではキャラクターたちとともににオノマトペと譜面が描かれる。勢いが激しければ譜面(もはや効果線のようだ)の動きも連動し、静かに水面にしずくがしたたり落ちるパートに入れば穏やかなオノマトペが効果的に映える。
ちなみに作中で使用されるオノマトペ(シャシャテン、コロリンなど)は箏特有の譜面の読み方である。
音が伝わってくることもすごい要素の一つだが、キャラクターたちがお箏に関わっていくストーリーも見入ってしまう。
一見、お箏とは無縁にしか思えない元不良や性格難ありギャルが一体どうしてお箏に?
有名な元不良少年のチカ。友情が大嫌いで箏曲部を壊滅させる目的のヒロ先輩。みんなで一緒にがんばる系の意味がわからないモモヤン。
紹介しきれないけれど、一癖も二癖もあるキャラクターたちが次々と真剣にお箏にのめりこんでいくのだ。
『この音とまれ!』は「音楽マンガ」であり「青春マンガ」だ。