この音とまれ! / Kono Oto Tomare! Sounds of Life

『この音とまれ!』とは、2012年9月号から『ジャンプスクエア』(集英社)で連載を開始した、アミューによる少年漫画である。また和楽器の箏をテーマにした学園・音楽漫画でもある。コミックスは27巻が刊行され、累計発行部数は2021年時点で550万部を超えた。
物語は高校の筝曲部に所属する主人公久遠愛(くどおちか)を中心とした、部活で箏を演奏する喜びや葛藤を描いた青春群像劇である。
2017年に作中の楽曲が収録されたCD『この音とまれ!~時瀬高等学校筝曲部~』がリリースされ、2018年「第32回日本ゴールドディスク大賞」で純邦楽・アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞した。また「第72回文化庁芸術祭賞」のレコード部門で優秀賞を受賞した。
漫画オリジナルの筝曲が4曲あるが、その作曲は筝曲家である作者の姉と母が担当した。曲はコミックス発売を記念して動画公開された。
テレビアニメは2019年4月から6月までと10月から12月まで2クール放送された。また舞台が2019年8月から9月に東京・福岡・大阪で公演された。

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この音とまれ! / Kono Oto Tomare! Sounds of Life
10

超本格的音楽&超青春マンガ!

日本で生まれ育ちながら伝統の和楽器「箏」に触れたことのある人は少ないだろう。なんとなく敷居が高くて近寄りにくいイメージが浸透しているからなおさらだ。
このマンガはすごい!革命的だ。
お箏が世間の表舞台に堂々と現れた。これは箏をする者は大歓喜である。どういう曲をどんなふうに演奏しているのかの表現が素晴らしい。
17巻で新入部員の由永くんとモモヤンがそれぞれ「六段の調べ」のさわりを弾く場面があるが、
ここのオノマトペだけで由永くんは古典向き、モモヤンは現代曲向きのセンスを持ち合わせていることがわかる。
経験者であればより楽しめると思うが、もちろん未経験者もキャラクターがどんな曲の演奏をしているのかイメージをつかみやすい表現がふんだんに盛り込まれている。
例えば合奏の場面ではキャラクターたちとともににオノマトペと譜面が描かれる。勢いが激しければ譜面(もはや効果線のようだ)の動きも連動し、静かに水面にしずくがしたたり落ちるパートに入れば穏やかなオノマトペが効果的に映える。
ちなみに作中で使用されるオノマトペ(シャシャテン、コロリンなど)は箏特有の譜面の読み方である。
音が伝わってくることもすごい要素の一つだが、キャラクターたちがお箏に関わっていくストーリーも見入ってしまう。
一見、お箏とは無縁にしか思えない元不良や性格難ありギャルが一体どうしてお箏に?
有名な元不良少年のチカ。友情が大嫌いで箏曲部を壊滅させる目的のヒロ先輩。みんなで一緒にがんばる系の意味がわからないモモヤン。
紹介しきれないけれど、一癖も二癖もあるキャラクターたちが次々と真剣にお箏にのめりこんでいくのだ。
『この音とまれ!』は「音楽マンガ」であり「青春マンガ」だ。